64億円分のプラントを一括して損失として計上!ユーグレナは来期2019年9月期に計上を予定しています。
青汁とバイオ燃料の二足の草鞋を履くユーグレナ。来期一気に損失を計上する同社について、簡単に調べてみました。
概要
ユーグレナの2019年9月期予想決算が興味深い
ミドリムシの上場会社といえばユーグレナ<2931>。ミドリムシを使った青汁やら化粧品を販売しながら、バイオジェット燃料の研究を行っているという非常にユニークな企業です。バイオ系の会社が、創薬で収益上げる前に小遣い稼ぎ的に受託試験等の事業を行うケースがありますが、ユーグレナはバイオジェット燃料の事業のために青汁等で収益を上げている、ある意味うまい会社です、夢だけじゃ食っていけませんから。けどそれでIPOまでしているので、大したもんです。
そんなユーグレナが2018年9月期決算を発表。18年9月期は売上高152億円(対前年同期比9.3%増)、経常利益▲11億円(前年同期12億円)となり、増収の一方で赤字に転落。
あちゃー赤字転落かぁ、という状態ですが、興味を引いたのは2019年9月期の予想決算。
・2019年9月期予想決算
売上高165億円、営業利益▲68億円、経常利益▲64億円、当期純利益▲67億円
営業利益▲68億円ですか、当期が▲14億円なので4倍以上赤字、一体何が起こるんでしょうか?
バイオジェットのプラント建設関連費用64億円を一括費用計上!
19年9月期の大赤字の背景は簡単で、バイオジェットのプラント建設関連費用64億円を一括費用計上するため。
化学やエネルギーのプラント作るのに相当なお金が必要です。そりゃ60億円以上の費用はかかるよなぁ、とその昔なぜか石油化学プラントがマンションの窓からスグ近くに見える場所に住んでいた管理人は思います。(夏はその地域一帯が暑かった・・・)
ただ冷静に考えると別にプラントの費用一括で落とさなくてもよくないか???
会計的にどうなんだろ、と思うのですが決算短信には、“平成31年9月期におきましては、横浜市鶴見区に建設しておりましたバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントが平成30年10月に竣工することに伴い、建設等に要した6,373百万円を、会計基準に従い研究開発費として費用計上することを見込んでおります”とあります。
研究開発用のプラントで実際の生産プラントではないから、研究開発費として一括で費用計上、というロジックです。しかし研究開発費として一発で64億円落とすって、売上150億円規模の会社なら普通潰れてしまいます。恐るべしユーグレナの財務基盤。
タマに目にする設備を一括して損失計上できるか問題
ユーグレナの例に留まりませんが、設備を一括して損失計上できるか問題、タマに出会います。
古くは日産のカルロス・ゴーン氏が日産に乗り込んできた時に、過去の設備を一気に会計上損失計上して、翌年からのV字回復したケースが有名。あの方法ならゴーン氏でなくてもV字回復できる、と当時陰口を言われてました。経営的にシンドイ会社がショック療法として資産を一気に損失計上する方法はよくとられます。ただし監査法人と相当揉めます。
ユーグレナの来期決算はこれから稼働する設備を先に一気に損失として計上する訳で、会計的に無しではありませんが、そこまでする必要あるのかな、という印象を受けます。
ちなみに監査法人が関与しない未上場会社ならどうぞご勝手に、の世界です・・・。
設備の償却は、多くのケースで損益をキレイに見せるためになるべく少なくするのが通常ですが、ユーグレナはその逆を行く訳です。それだけ同社の体力=財務基盤が充実している証拠なんですが。
当面はヘルスケア事業が業績を牽引する
ユーグレナは最終的にはバイオジェット燃料事業の立ち上げを目指していますが、足元で数字を出しているのは青汁を始めとするヘルスケア事業。
同事業は2018年9月期は上期は宣伝広告費かけすぎて赤字となりましたが、下期は黒字。そして通期で若干赤字。
巡航モードで半期で部門損益4億円程度は計上できる状態なので、今後も同社の足元の収益はヘルスケア事業が牽引する状態が続きます。
同社のヘルスケア事業は売上150億円規模で健康食品会社としては大手の部類に入ります。バイオジェット燃料やめてヘルスケア事業一本にしたら、えらい利益が出るだろうなぁ、というのは色々な投資銀行が考えそうな所ですが、それをしたら面白くありませんね。
株価は下落トレンドの真っ最中
ユーグレナの株価は2015年から下落トレンドが継続中。下記は月足ですが下落トレンドが止まる気配がありません・・・。
・ユーグレナ株価-月足チャート
「画像出典:マネックス証券/日本株取引ツール トレードステーション」
マネックス証券Tradestation
※関連記事:マネックス証券のトレードステーション発表会に行ってきました
株式市場はバイオジェット燃料で食べていけるのはまだまだ先ですな、と言っているようです。株価だけ考えれば、ヘルスケア事業切り離して潜在的な企業価値を株価に反映云々となります。
しかしどこで下げ止まるのでしょうか?
まとめ
その昔は松から採取した油でゼロ戦を飛ばそうとしていたのですから、藻から作った油でジット機が飛んでも何らおかしくありません。
企業評価という観点では健康食品とバイオジェット燃料という顔があって、非常に評価が難しいユーグレナですが、面白い事をやっているのは間違いありません。
果たして同社が開発したバイオジェット燃料でジェット機が商用飛行する日が実際に到来するのでしょうか?まだ随分先になりそうですが、興味深く見守りたいと思います。
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