介護施設アミーユを展開のメッセージの業績と株価のポイント

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 日本では数少ない成長産業とも言える介護事業。その中でも特に企業の注目を集めているのが、介護施設事業です。
 介護施設事業、既に上場企業を始め多くの企業が参入し、街でもその姿を見かける機会が多くなりました。

 パナソニックや損保ジャパンと言った、他業種の大手企業も参入している介護施設事業ですが、「アミーユ」という施設を手がけるメッセージは、介護施設専業で株式上場(IPO)を果たした業界のパイオニア的存在。

 今回はそんなメッセージの業績と株価について見てみようと思います。

メッセージの概要

 メッセージは1997年設立。本社岡山市の介護付き有料老人ホーム事業(以下、高齢者住宅事業)を行う会社です。2004年4月にジャスダックに上場しており、現在も上場市場はジャスダックとなっています。

 2014年のデータでは高齢者事業を行う企業としては、総件数324、総居室数17,070と、大手のベネッセやニチイ学館を抑えて堂々の1位。業界最大手の会社となっています。

「高齢者住宅・施設運営居室数ランキング2014}(週刊高齢者住宅新聞)

 尚、メッセージの創業者・橋本俊明会長はお医者さん。メッセージは橋本会長の医療法人の関連施設からスタートしています。

メッセージの業績推移

 メッセージの業績は下記のように推移しています。

15.9.18メッセージ業績推移-min

 メッセージの業績は順調そのもの。2012/3期→2013/3期に施設数を増加させ、売上も増加。2013/3期は先行投資のため増収ではあったものの減益となりましたが、2014/3期から先行投資の回収が既に始まっている状況。
 そして現在の2016/3期も順調に増収増益(経常利益ベース)の計画となっています。

 施設建設でお金が必要となり、借金体質になりがちな業界ですが、メッセージの2015/3期の自己資本比率は48.6%。年々自己資本比率は高まっており、非常に経営的には安定しています。

メッセージの施設入居率は96.47%

 高齢者住宅事業の状況を見る際、ある意味で一番大切なのは施設への入居率。
 介護付きマンションと言う名前の通り、介護付きマンション事業は基本的に、賃貸マンションとビジネスモデルは一緒です。いかにして入居率を高めるのか、ここにつきます。

 そして、メッセ―ジの施設の入居率は2015/3期末時点で96.47%。
 
15.9.18メッセージ-入居率-min
「メッセージの2015/3期決算説明会資料 10p」

 入居率95%オーバーで、ほぼ満室に近い状態となっています。

 尚、先日介護事業の売却が報じられたワタミは、直近の入居率が約78%。最大手の入居率が95%オーバーに対し、ワタミの入居率は約78%。ワタミの介護事業の苦戦が、入居率の比較からもうかがい知ることができます。

関連記事:ワタミに倒産の足音、介護事業売却か居酒屋の復活か?

 しかしながら、メッセージの関連する川崎の施設で3人が転落死、という報道をきっかけにメッセージの株価は急落しています(後述)。今後、川崎の施設の転落死の風評、そして株価急落が入居率に影響を及ぼすかどうかは注意が必要。

 ワタミの場合、3年前には88%を超えていた入居率が、ブラック企業の風評もあり78%まで落ち込んでいます。川崎の転落事故があろうとなかろうと、介護施設事業の会社を見る際は、入居率が非常に大切な指標となりますが、メッセージの場合は株価急落を引き起こしており、尚更今後の数字の推移に注意が必要となります。

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メッセージの株価→4,000円代から2,000円代に急落

 下記がメッセージの5年分の株価推移となります。

 これまで株価は堅調に推移していましたが、川崎の施設での入居者の転落事故報道をきっかけに株価は急落。それまで4,000円代をキープしていた株価は、一気に半額の2,000円付近まで、約1/2に急落しています。

落ちたナイフはつかめるのか?メッセージ株価のチャート分析

 メッセージの株価、4,000円代から2,000円付近に急落し、約半分の株価になってしまった訳ですが、ここでメッセージの株を買えば儲かるかも?、と思う方がいるのも人情。

 既に説明のように、数字的には何ら問題の無いメッセージなので、今回の株価急落は一時的なもの、と考えることができれば、絶好の買い場を迎えていることになります。

 今回のメッセージの株価急落、チャート屋の観点から言えばポイントは2つ。

①窓を3つ空けている
②2,000円がサポート&レジスタンス(サポレジ)になっている

 大きな出来高を伴って下落したメッセージの株価。その際に3つも株価の窓を空けて下落しています。

15.9.17メッセージ株価-min
窓が3つ空いているメッセージの株価

 窓埋めが行われると、ヤレヤレということで一旦値動きが落ち着くことが多いので、メッセージの株価が上昇すると仮定すれば、窓を埋めてヤレヤレ→一旦休み→窓を埋めてヤレヤレ→一旦休み→窓を埋めてヤレヤレ→一旦休み、という値動きでの上昇が予想できます。
 メッセージの株価が上昇となっても、急落の逆で急登するかと言えば、窓の存在故、株価上昇は順調に行っても階段状となる可能性があります。

 また別途10年分の株価チャートを見ると、メッセージの株価は2,000円付近がサポレジとなっています。

 そして今回の急落においても、株価は2,000円付近で下落にブレーキがかかっています。よって今後更に別のマイナスのファンダメンタル的要因等が出てこなければ、今回の下落、これで一旦終了、と考えることができます。

 チャートの値動きのセオリーで考えれば、急落したメッセージの株価、V字で回復するのは難しい可能性が。また仮に”上昇”という場合でも、今回の急落で相当エネルギーを使っており、しばらく大人しい値動きでエネルギーを溜める=スクイーズ、の後に上昇する、というのがチャートのセオリー的な解釈となります。(今更ですが、チャートはセオリー通りに動くとは限りませんのでご注意ください)

関連記事:株やFXチャートの見方、相場はトレンドと停滞の繰り返し

メッセージの業績と株価のまとめ

 施設介護事業では業界最大手のメッセージ。介護事業は確かに成長市場ではありますが、担い手不足から、実は各社ともに苦戦している、という面も実はあります。

 川崎の施設の一件で、株価が急落したメッセージではありますが、経営的には非常に安定しており、株価の急落はただちに経営に影響を及ぼすものではありません。しかしながら、ワタミではブラック企業の風評の影響もあり入居率88%だったものが3年後には78%まで落ちてしまった、というケースもあり、今後メッセージの施設の入居率には注意が必要となります。

 チャート屋としては、一気に下落したメッセージの株価が再び上昇するのかどうか、が一番興味のある所となります。当面メッセージの株価を興味深く見守ろうと思います。

PS 最終的には損保ジャパンがメッセージを買収へ。別途記事を作成しました。

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