クラウドワークスが30億円を資金調達して20億円をM&A(企業買収)に充てると発表。チャレンジングな試みはどうなるのか?
ユニークな外注サイトとして事業展開を行い、昨年12月に東証マザーズ市場に上場したクラウドワークス。そのクラウドワークスが、30億円の資金調達を発表。そのうちの20億円をM&A(企業買収)に充てると合わせて発表。
「クラウドワークスの発表資料」↓
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80447/493187a8/5660/4ac9/9f11/cce4e1a69d87/140120150611415254.pdf
上場しているものの現状赤字段階(2015/9期計画で売上高10億円、経常利益▲3.6億円の計画)のクラウドワークスによるチャレンジングな挑戦、果たしてどんなものなのか、内容を探ってみました。
そして今後の課題を考えてみました。
概要
クラウドワークスの資金調達30億円、その内で株式での調達は約5億円
今回のクラウドワークスの30億円の資金調達は、
約5億円(正確495百万円)をサイバーエージェント向けの第三者割当割当増資、約25億円をドイツ証券向けに新株予約券付を発行する、というものです。
後述しますが、ドイツ証券向けの新株予約券付社債は、必ず資金調達できるという仕組みではありません。よってクラウドワークスの発表時点で、確実に調達できる金額はサイバーエージェント向けに実行する第三者割当増資の約約5億円。
では次にドイツ証券向けの25億円について見てみます。
クラウドワークスのドイツ証券向けの新株予約券付の内容
今回、クラウドワークスがドイツ証券に向けて発行する新株予約券付は3つに分かれています。
①株価1,300円で行使できる新株予約権→780百万円
②株価1,800円で行使できる新株予約権→900百万円
③株価2,100円で行使できる新株予約権→840百万円
新株予約権は定められた株価以上にならないと行使するメリットがないので(1,000円で買える権利があっても、株価500円なら誰も権利の行使はしません)、要は株価が条件に合うまで上昇しないと行使できない=資金調達できない仕組みです。まぁ逆に、多少なりとも株価が権利行使以上になれば、権利を行使してすぐに株を売却すれば、ほぼノーリスクで儲かります。
発表をした6月12日のクラウドワークスの終値は1,224円、当然今後の株価上昇を見込んで、このような仕組みとしている訳ですが、思惑が外れると、下手するとこの新株予約権分の25億円、一銭も調達できないリスクがあります。
クラウドワークスの株価推移とフィボナッチ的株価予想
下記が昨年12月の上場時から現在までのクラウドワークスの日足チャートです。
最初に既にフィボナッチ・リトレースメントを引きましたが、クラウドワークスの株価は、現在の所、リトレースメント23.6に引っかかっている所。
※フィボナッチ・リトレースメントの見方は下記をご参考下さい
フィボナッチでの株価分析の基礎
仮にクラウドワークスの株価が上昇した場合、フィボナッチ的な目標値はリトレースメント78.6〜88.6の1,800〜1,900円付近。クラウドワークスの株価が上昇して、フィボナッチの教科書通りの値動きとなれば、新株予約券付②までは、少なくとも資金調達できそうです。
そして新株予約権③となると、これまでの最高値2,040円(2014年12月17日)を上に抜ける必要があります。ここを抜けるかどうかは、チャートマニアとしては非常に興味深い所です。
ただしクラウドワークスはマザーズ上場銘柄、フィボナッチは出来高が大きい銘柄でより効きやすいので、今回の予想はいつも以上に参考情報です、悪しからず。
クラウドワークスの資金調達のポイントと課題
フィボナッチ使いから見れば、どうやら新株予約権②までの資金調達はできそうな、今回のクラウドワークスの資金調達。考えらえるポイントや課題を挙げてみました。
・本当に全額調達できるのか?
・現状赤字の会社としては資金調達の規模大きくないか?
・資金調達できたとしてM&Aを捌ききれるのか
・M&Aが実行できたとして、うまく会社を運営できるのか
上場会社とは言え、マザーズ上場のベンチャー企業で、まだ赤字のクラウドワークス。本当の課題は実は資金調達を行った後。本業を黒字にするのは当たり前として、資金調達を行った後で各方面で大人の対応が求められます。
資金調達の後、投資銀行やM&A会社やらが様々なM&A案件を持ち込むでしょうが、百戦錬磨の彼らを相手に、変な案件掴むことのないような、しぶとさが必要。ベンチャーだから、という言い訳は通用しません。これだけの資金調達する訳なので。ただし、これは焦らないのが一番。
そしてその後、M&Aした会社をうまくやっていけるのか。M&Aの世界、入り口の華やかな世界に目が行きがちですが、一番大切なのは、M&Aした後。いかにうまく買った会社を運営していくか、ですから。
今回全額資金調達が行えると、30億円という結構な金額がポケットに入るため、クラウドワークスとしては、今後はベンチャー企業です!、という対応だけでなく、金額に見合った大人の対応が求められることになります。
ベンチャー企業の成長をリアルタイムで見ることを期待
今回のクラウドワークスの資金調達、チャレンジングな試みです。借金する訳ではないので、失敗しても会社がどうこう、ということにはならないと考えますが、それにしても、現在の企業の段階で30億円調達して・・・、というのは大きな挑戦。
20億円でM&Aを行うという事業計画ですが、これが成功すれば、まさにベンチャー企業の成長をリアルタイムで見ることとなります。色々な会社が新興市場に上場してきましたが、この規模の会社で、これだけの取り組みは、バイオベンチャーを除くと殆どないのでは?
クラウドワークスの挑戦、うまくいくことを願っています。