ユニーの業績悪化で予定通り進んでいない、サークルKサンクスを傘下に置くユニーGHDとファミリーマオートの経営統合(合併)。
東海地区で一時代を築いたユニーですが、イオン・ヨーカドーも苦戦のスーパー事業、一人楽勝とは言えず苦戦しています。先日発表された2016年2月期中間期決算にもその苦戦が如実に表れています。
そんなユニーとファミマの統合の姿に、かつての三和銀行(緑色)と東海銀行(赤色)に似ているなぁ、と思うのは管理人だけ?勘違いであることを願うのみです。(2015年10月22日更新)
関連記事:ファミマとサークルKの経営統合(合併)、一筋縄では行かない様子
概要
ユニーよりサークルKサンクスのほうが儲かっている、中間期決算
先日発表されたユニーGHDの2015年8月の中間決算期決算、一般的なイメージと異なり、中間期の段階ではスーパーのユニー事業より、コンビニ事業のサークルKサンクスの方が儲かっています。
ユニーGHDの2015/8中間期
スーパー事業
営業収益(売上高)3,893億円(前期比103.2%)
営業利益24億円(66.4%)
コンビニ事業
営業収益(売上高)770億円(101.0%)
営業利益49億円(80.4%)
※「ユニーGHD2016年2月期第2四半期決算参考資料」より
2014/8中間期も営業利益ベースでコンビニ事業の方が利益が出ているので、この傾向は例年の傾向と考えられますが、結構意外ですね。
ただし営業利益の絶対額で見れば、スーパーもコンビニも両者ともに減益となっているので、ユニーグループ全体としてみればジリジリと追い込まれつつある状態、と言わざるを得ません。
客観的に数字だけ見ると、スーパー事業は4,000億円に届きそうな売上があるにも関わらず営業利益はタッタ24億円って、この面だけでもスーパー事業の苦境が明らかです。
そんな状態下でユニーグループと合併を予定しているファミマ、正直な所では、サークルKサンクスだけ欲しくてユニーはいらない、というのが本音ではないかと。
ユニーGHD2015年8月中間期の減損79億円の大半はコンビニ事業
毎期のように減損で損失を発表しているユニーGHD。2015/8中間期も特別損失で減損損失を79億円計上。その内訳は、スーパー事業が13.5億円、コンビニ事業が64億円であり、当中間期の苦戦の原因はコンビニ事業、ということになります。
2013年2月期に大量出店した約100店が減損の対象になった(日本経済新聞2015/10/3)
との、説明がなされています。
サークルKサンクスは2013年2月期に全国で73店を出店しています。しかしながら同期に四国のFC脱退で四国地区が118店減少しており、全体の差し引きで言えば出店を191店している計算。(分かり易く計算上の話にしておきます)
簡単に言えば、2013年2月期に出店した店舗の半分以上を減損しました、ということになり、完全に2013年2月期のコンビニの大量出店は失敗でした、という結果になっています。
東海銀行と三和銀行の組合せも赤と緑だったよなぁ
先日、何となしに足を運んでブックオフで100円売っていて思わず買ってしまったのが、下記書籍。
【楽天ブックスならいつでも送料無料】UFJ消滅 [ 須田慎一郎 ] |
UFJ銀行の後半(とは言ってもUFJ銀行自体、約3年の歴史しかありませんが)の歴史が描かれています。で、フト思ったのは、東海銀行=ユニー・三和銀行=ファミマ、という構図になったりしないか?、ということ。
まぁそりゃそのまま=(イコール)になりはしませんが、赤色イメージの東海銀行は東京始め東海地区以外でこさえた不良債権で身動きが取れなくなって紆余曲折合った後で最後に緑色イメージの三和銀行と合併。
ユニーもサークルKサンクスも、正直な所、東海エリア以外ではネームバリューも低く苦戦を強いられているようなので(実際の数字までは分析できていませんが)、そしてジリジリ後退している中でファミマと合併して局面打開という構図、東海銀行に似ているような・・・。
UFJ銀行における東海銀行勢の歴史を紐解けば、仮にユニーとファミマが合併して東海銀行と同じことになるとすれば、まぁユニーそしてサークルkサンクスの将来は悲観的にならざるをえないのですが・・・。
最後の最後にイオンやヨーカドー(=東京三菱銀行)に助けてもらう、という大どんでん返しの可能性まで考えないといけないかも、ですが。
ええ、勝手な想像でございます。けどユニーグループの足元の状況と、ファミマと合併しようとしている状況から考えると、東海銀行が東海地区以外で苦戦して身動きが取れなくなって、追い込まれて合併、という状況は似ているのではないかなぁ、と思います。
ファミマの親会社の伊藤忠が統合のハードルを上げている?
一方のユニーグループとの統合相手のファミリーマート。先日はココストアの買収(M&A)を発表して、着実にコンビニ業界の再編の主役を演じつつあります。
ただしファミマも親会社として伊藤忠商事が存在しており、何か物事を決める際は伊藤忠にお伺いを立てる必要があります。伊藤忠はユニーGHDにも出資していますが、どの伊藤忠がファミマとユニーとの統合についてハードルを上げているのでは?、と先日久しぶりに立ち読みした「FACTA」にありました。
ユニーとすれば、これまでの路線を変更してまでファミマとの統合に舵を切ったのに、ハードルを上げられて今更それはないよ・・・、という感じ?折角お宅の言う通りにしたのに今更なに言ってんだ!、と実はファミマ側がユニー側からつるし上げられている状態だったり?
親会社がいる会社との合併、当事者同士だけでは決められないので、ファミマとしても苦しい所かもしれません。
ユニーとファミマの統合は伊藤忠商事がクビを縦に振らないとそもそも始まりません
ユニーはファミマと一緒になるかor規模縮小かの選択肢。コンビニ売ったらどうなる?
ユニー側とすれば、もうこれまでの路線ではやっていけない、と判断した中でファミマとの経営統合を選択しています。選択肢としては、ファミマとの統合、もしくは、広がりすぎた戦線を一旦縮小するダウンサイジングか。
現在は前者=ファミマとの統合、で活路を見出そうとしているユニーグループ。ただし頭の体操として考えれば、もうファミマが欲しいと言うのであれば高い値段でサークルKサンクスを売ってしまって、スーパー事業の立て直しに全力を注ぐ、という方法もあります。
まぁそれでスーパー事業が立て直らなければ、ユニーグループは完全にアウトな訳で、バクチに近い方法論の可能性もありますが。
けど間違いなくコンビニ部門だけ欲しいファミリーマート、サークルKサンクスだけなら、結構いい値段で買ってくれそうな気もするのですが。
youmeタウンのイズミを見習ってみるとか
大手スーパーでの現在の成功例と言えば、知る人ぞ知るイズミ。yomeタウン、というショッピングモールを中四国と九州で展開しています。イオン・ヨーカドー他、全国規模の大手スーパーが苦戦の中、一人気を吐いています。イズミの2015年2月期決算は下記。
売上高(営業収益)5,797億円
営業利益303億円
経常利益297億円
当期純利益173億円
5年分の株価推移は下記。
ご立派な数字+株価推移です。
そして2015年2月期のユニーGHDのスーパー事業の数字と株価推移は下記。
売上高(営業収益)7,773億円
営業利益90億円
単なる売上高と営業利益の数字の比較で、恐らくもっと突っ込んで分析はできるでしょうが、単純比較でこんな感じ。ちなみにユニーGHDの全体あは2015/2期売上高1,018億円、営業利益は202億円、経常利益204億円。スーパー主体のイズミと比較すれば、ユニーGHDはもっとできることがあるような気がどうしてもしてしまいます。
ただし広島本社のイズミ、九州地区の攻略を1990年代後半から手掛けて、それが現在花開いている状態であり、イズミのような状態は簡単に作り上げることはできません。
ちなみにファミリーマートの5年分の株価推移はこんな感じ。
関連記事:ファミリーマート株価の今後の見通しと予想
直近5年の株価で言えば、イズミとファミリーマートは勝組み-ユニーGHDは負け組、という状態となっています。
まとめ
地方都市と言うには規模が大きすぎ、大都市と言うには後背地含め規模が小さい名古屋を中心とする東海地区。
少子高齢化の影響をモロに受けているスーパーマーケット業界。ユニーグループは局面打開のためにファミマとの合併に舵を切ったのですが、将来の行方はどうなるのか?東海銀行の例に習わないことを願うのみです。
スーパー業界と銀行は違う、というご意見も当然あろうかと思います。ただね「UFJ消滅 メガバンク経営者の敗北 」を読んで、構図が似ているなぁ、と思った管理人でした。
先日、「ファミマとサークルKの経営統合(合併)、一筋縄では行かない様子」という記事を書いており、気にはなっているユニーGHDとファミマの統合。
ユニーGHDとファミマの統合、今後どうなるのかの答えは遠からず見ることができそうですが、東海銀行と三和銀行の統合の二の舞だけは避けてほしい、というのが東海地区の方々のご意見ではないかなぁ、と思います。