実は世界がひっくり返ってしまうかもしれない危険性があるパナマ文書。幸いにして日本はその激震の影響は少ない感がありますが、それでも内容次第では日本にも激震が走る可能性が。
世界では政治事件化しそうなパナマ文書ですが、日本で問題が発生するとすれば経済事件化かも?世界レベルで見れば、日本の政治家は全くもってクリーンな存在でしょうから。
5月10日に全文書が公開されたパナマ文書、今後の展開に注目です。(2016年5月11日更新)
概要
パナマ文書とは
パナマ文書またはパナマペーパー(英語: Panama Papers)とはパナマの法律事務所、モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)によって作成された一連の機密文書である。文書は1970年代から作成されたもので、総数は1150万件に上る。文書には株主や取締役などの情報を含む、オフショア金融センターを利用する21.4万社の企業の詳細な情報が書かれている。これらの企業の関係者には多くの有名な政治家や富裕層の人々がおり、公的組織も存在する。
極々簡単に言えば、資産隠しに利用されるタックスヘイブン(租税回避地)の顧客名簿が流出した、ということです。ファンドが税務負担を安くするためにタックスヘイブンを利用することはしばしばありますが、富裕層等が税金逃れのために利用するケースもあるため、バレルとまずい・・・、という方が世界中におられる、ということです。
パナマ文書で名前が挙がる世界的有名人
個人及び家族名義含め、パナマ文書で名前が挙げられている世界的有名人は下記の方々です。
プーチン大統領(ロシア)
習近平国家主席(中国)
李鵬元首相(中国)
キャメロン首相(イギリス)
サルマン国王(サウジアラビア)
アサド首相(シリア)
グンロイグソン首相(アイスランド)
ナジブ首相(マレーシア)
ジャッキー・チェン(香港・映画俳優)
メッシ(アルゼンチン・サッカー選手)
ミシェル・プラティニ(欧州サッカー連盟元会長)他出典:日本経済新聞、時事ドットコムニュース
そうそうたる顔ぶれがパナマ文書に名前が挙がっています。
腐敗撲滅運動している張本人の習近平国家主席が、家族名義とはいえ名前が出ているのは、正直驚きを禁じえません。けど中国の歴史を考えてみれば、さもありなん、という感じではありますが・・・。
パナマ文書の発覚を受けて、アイスランドではグンロイグソン首相が辞任する事態にまで発展。今後どこにどう飛び火していくのか、非常に興味ある所です。
パナマ文書関連でネット上に名前の挙がっている日本人や日本の会社
パナマ文書関連で、ネット上では数は少ないながらも日本人及び日本の会社の名前も挙がっています。管理人がネット等で調べて出たのは以下。
飯田亮(セコム取締役)
バンダイ
大日本印刷
大和証券
ドリームインキュベータ
ドワンゴ
ファストリテーリング
ジャフコ
JAL
石油資源開発
丸紅
三菱商事
商船三井
日本製紙
オリックス
大宗建設
ジー・モード
千代田リース
山一ファイナンス
パナマ文書を扱っているICIJは「オフショア・リークス」というサイトで、オフショア取引をした法人や個人のデータベースを公開しています。
https://offshoreleaks.icij.org/search
上記は「オフショア・リークス」で名前が出ている企業名や個人名となります。よってそのままパナマ文書に記載の名前とはなりませんのでご注意下さい(2016/4/7時点)。当サイトも当初は、パナマ文書記載の日本関連、と早とちりして記事を作成していました。謹んでお詫び申し上げ訂正致します。
タックスヘイブンを利用したオフショア取引自体は、金融機関中心に必要以上の税金負担を減らすために利用されるため、決してそれ自体は悪いものではありません。(海外の取引の場合、下手すると利益以上に税金を取られるケースがあるので)
大和証券とかジャフコとかオリックスとかの金融機関は、投資のスキームでタックスヘイブンのペーパーカンパーニーを利用することがザラになるので、まぁ名前が出るよな、という感がします(上記には名前がありませんが、投資会社のアントファクトリーも「オフショア・リークス」には名前があります)。資金運用している事業会社とか海外展開している商社も同様。
とりあえず現段階で名前が出ている中で異色なのは、セコム関係の飯田亮氏。相続税対策っぽいのですが、これまでそれほど知られていなかった富裕層の相続税対策が白日の下にさらされる可能性があります。
「タックスヘイブンで巨額取引横行 プーチン氏周辺2200億円」(東京新聞)
ちなみに下記サイトによると、日本では24の法人、10の顧客、45の受益者、360の株主の名前が挙がっているそうです。
https://briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/embed_map
世界的には世紀の大スキャンダルの予感
パナマ文書に日本人政治家の名前は現段階では見当たらない様子
世界の政治家の名前が記されているパナマ文書。日本の政治家の名前があるかどうか、非常に興味ある所ですが、どうやら日本人の政治家の名前は現段階では見当たらないようです。
パナマ文書を報じた国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に加わる共同通信によると、租税回避地に法人を設立した日本人や日本在住者として約400名分の名前があった。だが一部しか公表されておらず、政治家やその関係者も現時点で見つかっていないという。(日本経済新聞2016/4/14)
全貌は明らかになっていないパナマ文書ですが、今のところ日本の政界はパナマ文書問題とは無関係となっています。
尚、イギリスではパナマ文書がEU離脱を問う国民投票に影響をしかねない状態になっています。
5月に全てが明らかになるパナマ文書
今回(4/3)に開示されたパナマ文書は、まだそのホンの一部の内容となっています。5月上旬には全ての個人及び企業のリストが公開される予定となっています。
どんな顛末になるか分かりませんが、日本にも名前が出るのでは?、と戦々恐々とされている方がいるかもしれません。いずれにせよ、決戦は5月上旬。場合によっては日本ではゴールデンウィーク気分が吹っ飛ぶ可能性もあります。
GW明け、相場が急変することが過去何度かありましたが、今年は要注意かもしれません。
パナマ文書に日本の政治家の名前は無い可能性も指摘される
5月に全貌が明らかにされるパナマ文書ですが。日本の政治家の名前はないんじゃないか、との指摘もあります。
日本の政治家は、タックスヘイブンを使う必要などない。政治団体を使った資産継承が可能だからです。~日本では、政治団体に寄付すれば、非課税になります。さらに、政治家が一つだけ指定できる資金管理団体への寄付は税金の特別控除も受けられます。~いくつかの政治団体に分散させた上で、政治団体を継承させるか、子どもの政治団体に寄付すれば相続税はかかりません(元衆院議員秘書)(「週刊文春」16/4/28号)
政治家にとってのタックスヘイブンは日本だった、と最後のコメントがふるってますが、政治家の場合は政治団体を利用した資産継承というモデルが確立しており、敢えてリスクのある海外のタックスヘイブンを利用せずとも合法的に遺産相続は可能な様子。
子供が政治家目指さなかったらどうなるんだろ?、と思ったりもしますが、いずれにしても世界的に見れば日本の政治家はクリーンな存在ですし、政治団体を利用した合法的な資産継承システムもあるようなので、パナマ文書の全貌が公開、となっても日本人政治家の名前は出てこないかもしれません。
5/10(火)に公開されたパナマ文書に名前のあった日本人
遂に公開されたパナマ文書。既に日本人の名前や企業名が噂されていましたが、パナマ文書に名前のある主な日本人及び日本企業は下記のように報じられています。
・飯田亮氏(セコム最高顧問)
・上島豪太氏(UCC-HD社長)
・三木谷浩史氏(楽天会長兼社長)
・重田康光氏(光通信会長)
・榎本大輔氏(ライブドア元取締役)
・島田文六氏(シマブンコーポレーション前社長)
・伊藤忠商事
・丸紅
・ライブドア
・ソフトバンクBB
・東京個別指導学院
・東洋エンジニアリング
・エム・エイチ・グループ(美容サロン運営)
※「週刊文春」16/5/19号より抜粋
有名所では、セコム飯田氏、UCC上島氏は既に名前がこれまで噂されていましたが、楽天三木谷氏、光通信重田氏の名前が新たに出ています。ただし、楽天の三木谷氏については、株の取得は楽天創業前の1995年の話なので、三木谷氏個人や楽天の租税回避云々ということではなさそうです。
企業名で意外な所は東京個別指導学院。国内の学習塾運営会社で、海外との取引は無いと考えられます。「週刊文春」には同社の、租税回避地に租税回避を目的とした会社を設立した事実はない、とのコメントが記載されています。
世間が注目の日本の政治家関係者の名前は、5月10日段階では直接確認されていないようです。(間接的には東京個別指導学院の関係で、加藤勝信一億総活相の義理の姉の名前が出ていますが、関係を否定するコメントが出ています)
まとめ
アメリカの有名人の名前が無い部分に、何かしらの意図を感じなくもありませんが、ともあれパナマ文書、世界を揺るがす大スキャンダルとなる可能性があります。日本の大物政治家の名前があると、日本も政治問題化しそうですが、事の次第では相続税の問題から始まり日本では経済問題化する可能性はあります。
何かしら新しい情報があれば、今後も随時アップして参ります。
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