日銀がMRFはマイナス金利の対象外とすることを決定。株式投資用資金のプール先となっているMRF、一部資金が日銀に預けられており、マイナス金利の導入で、MRFの元本割れという、証券業界にとっては悪夢のような事態の到来の可能性もありましたが、どうにか最悪の事態は避けられた格好に。
MRFにマイナス金利導入→株式投資のために証券口座にお金を入れたおいたら手数料取られていた→もう株式投資はやーめた、という負の連鎖はどうにか食い止められそうです。
MRFをマイナス金利から外すよう業界総出で働きかけていた証券業界、見事一点突破が成功。
証券業界も、個人投資家もまずはホッと胸をなでおろすことができそうです。
MRFは株等の投資資金のプール先
釈迦に説法の方も多いかもしれませんが、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)というのは株等を証券会社で買う際の投資資金のプール先となります。株を売買する際、一般的にはお金の流れは下記のようになります。
・銀行口座から出金→証券口座に入金→株を購入→株を売却→売却代金が証券口座に入金→銀行口座に出金
上記の流れで言えば、証券口座に入った投資家のお金はMRFに預けられます。株式投資の資金、常に株に化けている訳ではありません。銀行口座のお金を証券口座に入れて、株を買うまでの資金はMRFに化けています。また株を売却した代金、銀行口座に出金するまではMRFに化けています。(分かりやすくするために、相当ザックリとした説明ですので、悪しからず)
そしてこのMRF、公社債等で元本割れリスクが極力無い商品で運用されていますが、一部資金は日銀に預けられています。そして先日の日銀によるマイナス金利の導入によって、当然MRFの預け入れ分もマイナス金利導入の可能性が。
基本的に殆ど金利のついていないMRF、マイナス金利導入でMRFから日銀に金利を支払うような事態になれば、MRFの元本割れが現実のものに。これまでMRF=元本割れしない、ということで通常の投資家は安心して投資用の資金をMRFにプールしていた訳ですが、これがマイナス金利導入で元本割れ=実質的には手数料を取られる事態になれば、証券会社は出金の嵐に見舞われる可能性大です。そうでなくても、じゃあしばらく株式投資はやめときますわ、と言う人が続出する事態は容易に想像できます。
ちなみにMRFの残高は約10兆円。MRFへのマイナス金利、ある意味では日本の証券投資の息の根を止めかねない事態だったりします。
実は証券会社が損失補填可能なMRF
実はMRFって、損が発生した際、証券会社が損を補填できる制度になっている(するかどうかは別問題ですが)、極めて稀有な存在。投資家の決済資金になっている、という性格故ですが、それだけ証券会社にとって特別な存在。
証券会社が腹を括ればMRFの損は我が社で何とかします、と言えなくはありませんが(試算によると証券業界全体で年間約100億円の負担)、一時的で突発的な出来事ならまだしも、いつまで続くか分からないマイナス金利、尚且つMRFで収益を生んでいる訳ではないので、証券業界にとってはMRFをマイナス金利の対象外にしてもらおう、と考えるのは自然な流れと言えます。
そして業界総出で各方面に働きかけた結果、見事MRFはマイナス金利の対象外、という果実を勝ち取ることに成功したのでありました。
各方面に影響が大きすぎたMRFのマイナス金利
個人投資家レベルでも、証券口座にお金をおいておくと金利が取られる→であれば出金して当面投資は控えよう、となりますが、機関投資家レベルでも恐らく同じです。
機関投資家も投資用資金をMMFであったりMRFにしておくケースが多いです(MMFは既に殆ど募集停止になっていますが)。かつて某MMFが元本割れになったことがありましたが、その時に機関投資家は怒り狂ってましたので。どういうことかといえば、損しないハズの商品で損した訳です。これ一番機関投資家が怒るケース。読んでないリスクなので。ついでに言えば、上司に説明つかない・・・。
MRFも同じで、マイナス金利導入という理由はさておき、損しないハズの商品で損する可能性が出ていた訳です。機関投資家及び証券会社としては、驚愕の事態。さすがにマイナス金利の話は知られているので、証券会社が怒られることは少なそうですが、じゃあもうオタクの資金は銀行に出金しますわ、と言われてしまうと証券会社としては今後の商売がやりづらくなるので、何としても避けたい事態。
MRFのマイナス金利の影響、そのまま適用になっていれば運用の現場レベルでは非常に影響が大きかったのではないかと考えられます。
そのまま導入されると証券業界には影響が大きすぎるMRFのマイナス金利
401Kにも影響が
実は個人年金に浸透しつつある401K(確定拠出年金)にも、MRFのマイナス金利導入の際は大きな影響が出ていた可能性が。なにせ401Kも積み立てたお金は一旦MRFにプールされていますので。ただでさえ口座管理手数料を取られて、更にMRFでも手数料となれば、もう401Kやめた(簡単には辞められませんが・・・)もしくは新規の積立しない、という方が続出の可能性だってあります。
管理人は、投資=タイミングを待つこと、と考えており、401Kはある意味それが一番実践できています。タイミングが来るまで、ジーッとMRFにしてあります。けどMRFが元本割れるようになると、さすがにもう401Kはいいかな、という気に多少はなります。
徐々に裾野が広がりつつある401K。MRFがマイナス金利の対象となった際は、こちらも大きな影響があった可能性が。
まとめ、まずはホッとしました
日銀のマイナス金利導入で、銀行に金利がつかないならお金は証券に流れるかも、と一瞬思いました。その直後に、そーいやプール資金はMRFでそのMRFは大丈夫か?、と思い直し、何の事はないマイナス金利の影響は個人面では銀行より証券会社のほうが強いのか?、と気付き、さてどーなるものか、と思ってました。
最終的にはMRFはマイナス金利の対象外、ということになり、まずは証券業界そして個人投資家もホッとできる事態かと。まぁMRFの運用先自体がなくなって、MRFの金利が0になる可能性はありますが、MRFは元本さえ割れなければいい、と思っている人が大半なので、それはやむなし。
ともあれMRFはマイナス金利の対象外、という日銀の発表を見て、管理人もホッと胸をなでおろしたのでした。けどマイナス金利導入の影響、各方面に出ていますね。昨日、ネット銀行への影響も見てみましたが。
「マイナス金利のネット銀行への影響、じぶん銀行はプラスの影響だった!」
まだまだマイナス金利騒動、今後も続きそうです。ちょっと注意して見ていこうと思います。
MRFがマイナス金利の対象外となったのを機会に証券会社を見直ししませんか?タイプ別にオススメの証券会社をピックアップ