概要
東芝の不適切会計問題、それでも東芝の上場廃止の可能性は低いだろうなぁ、と思います。その理由はコチラ。
不適切会計問題で揺れる東芝。粉飾決算か、それとも会計上の問題か、答えはまだ出ておりません。
当サイトでも東芝関連の下記記事、結構読まれているようです。
「東芝は粉飾?上場廃止はなさそう、ただ東芝ショックの可能性も」
東芝は上場廃止か?、という説もあるようですが、上記でも若干書きましたが、とは言っても東芝が上場廃止にまで至る可能性は低いと考えています。その辺り、5月22日の日本経済新聞がピッタリのデータを掲載していたので、ご紹介させていただきます。(2015年7月13日更新)
過去の主な会計不祥事、日経新聞5月22日記事より
5月22日(金)の日本経済新聞(17面)によると、過去の主な会計不祥事は下記9件あるそうです。
- 2004年西武鉄道
- 2005年カネボウ
- 2006年ライブドア
- 2006年日興コーディアルグループ
- 2007年IHI
- 2011年オリンパス
- 2012年OKI
- 2015年東芝
- 2015年LIXILグループ
上記の内で現在進行形の東芝とLIXILの2件を除く7件の内で会計不祥事が原因となって上場廃止となったのは西武鉄道、カネボウ、ライブドアの3件。日興コーディアルは現在は三井住友銀行の子会社で上場していませんが、不祥事の後で当時の親会社のシティーグループがTOBで株を買い集めて上場廃止にしているので、会計不祥事とは関係なし、としておきます。
そして上場廃止となった3社のケースをもう少し詳しく見てみます。
西武鉄道の上場廃止のケース
西武鉄道は持ち株の状況を有価証券報告書に虚偽の記載をしていた、というもので、会計不祥事というより、寧ろ株の問題に近い状況。
簡単に言えば、正直に株主の状況を報告していたらそもそも株式上場できていない状況でした、というもの。
業績の問題というより、そもそも上場できるの?、という株式市場の沽券に係わる問題で、上場廃止というのは厳しい判断だよなぁ、と当時思いましたが、そもそも論を考えれば仕方ない面がありました。
カネボウのケース
カネボウはそもそも本業がうまく行っていなかったケース。
約800億円の債務超過を資産超過を偽って公表したのが、不祥事の内容ではありますが、企業がもうそのままの形では立ちいかなかったと考えられるケース。だから会計不祥事があろうとなかろうと、時間の問題で上場廃止となっていた可能性が。
ライブドアのケース
ライブドアは端的に言えば、社会をお騒がせしてしまったケース。
日経新聞には、ライブドアは約53億円を売上高に不正計上、とありますが、実は日興コーディアル証券やオリンパスはそれ以上の金額を不正に処理していた訳ですが、その話は置いておきます。
個人的にはライブドアは遅かれ早かれ、本業が行き詰って上場廃止の道を歩んだのではないか、と考えていますが、2006年の時点でライブドアが上場廃止になったのは、社会をお騒がせしたから、という意味が大きいかと。
映画の世界だと、あいつはやりすぎた、とドンが言うシーンが想定されます。
東芝の不適切会計のケースを考えて見る
東芝の不適切会計の内容は続報を待つとして、上記3社と東芝を比べてみます。
東芝は西武のように株主の問題があるかと言えば、それは無いですね。既に東芝はオーナーもおらず、サラリーマン経営者の会社になっています。
そして東芝は本業が行き詰って、それこそカネボウのように債務超過かどうかの危機的状況にあるかと言えば、半導体部門がメロメロにならない限り、それはなさそう。(半導体部門は絶好調で今や東芝の稼ぎ頭です)
最後に東芝はライブドアのように社会をお騒がせしたかと言えば、そんな訳では決してなく、だからまだそんなに一般的には大きな騒ぎにはなっていません。
と考えると、東芝は過去に会計不祥事で上場廃止となった会社とは、いずれのケースも当てはまらないことに。そんな訳で、管理人は東芝の上場廃止はまずないと考えています。
こんな分かり易い情報を掲載してくれた日経新聞よありがとう、さすがです。
ただし東芝の不適切会計問題、減損の分野まで拡大の可能性も
東芝の不適切会計問題、上場廃止にまでは至らないと考えていますが、とは言っても問題自体は未だ収束していません。
当初はプラント等の長い案件を持つ事業のみの話と思っていたら、問題を調査委している第三者委員会は調査の対象を、テレビや家電やパソコンの事業部にも広げる様子。何だか雲行きが怪しくなってきました。
問題発覚当初は会計、それも期間の長いプロジェクトの問題、と考えていましたが、テレビや家電の部門まで広がって来ると、案件の採算管理の問題に加えて、減損の問題も発生する可能性が。東芝の家電やパソコン部門は赤字なので、ここもツッコミ始めると、不採算の工場等を厳密に減損しているのか、という会計上の新しいテーマが出てきます。
当然監査法人の指導の下に減損も行っている訳ですが、第三者委員会の厳しい目で見たら減損の対象でした、という可能性だってありますので。
減損会計とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいう。減損処理ともいう。広義には会計上のあらゆる資産について適用しうる考え方であるが、通常は、有形固定資産についての減損会計を指すことが多い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%9B%E6%90%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88
いずれにしても東芝の第三者委員会、当初問題となった期間の長いプロジェクトの採算管理に加え、家電部門という新しいテーマにも手を出そうとしており、東芝の不適切会計を巡る問題の行方は、まだまだ注目が必要です。
尚、減損については、後日下記記事で触れていますので、合わせてご覧ください。
「東芝の下方修正はスマートメーターが原因?企業買収(M&A)失敗の典型例?」
そして、東芝の不適切会計問題、貸借対照表(B/S)を見ると、なぜこんなことになってしまったのか、問題の原因や背景の一端が見えてきます。原発事業でのM&Aが、B/Sに非常に重くのしかかっています。
「東芝の不適切会計問題、貸借対照表(B/S)を見ると理由が分かる?」
まとめ
東芝の上場廃止はなさそうですが、東芝の不適切会計を巡る問題、まだまだ収束には時間がかかりそうです。東芝の会計問題、今後の日程について、下記記事で解説してみました。
株主総会が行われる6月までに決算発表が出来ないという、ある意味では前代未聞の事態となっている東芝。そして赤字部門の家電やパソコン部門にも調査対象を広げている第三者委員会。
東芝の不適切会計を巡る問題、まだ解決にはしばらく時間がかかりそうです。時間見つけて今後も追いかけようと思います。
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