ディーゼルエンジン不正の疑惑を受け、ドイツ検察が捜査を行っているダイムラーがメルセデス・ベンツのディーゼル車約300万台をヨーロッパでリコールへ。当局の指示等がある前に先手を打った形となりました。尚、現段階では日本法人に対してダイムラー本社から具体的な指示等は出ていない様子。
フォルクワーゲンから始まったディーゼルエンジン不正の問題、ダイムラーでも幕開けとなるのか。今後の進展に注目です。
ヨーロッパでメルセデス・ベンツのディーゼル車約300万台がリコール
昨年はフォルクス・ワーゲン（VW）のディーゼルエンジンの排ガス不正で揺れたドイツですが、現在はメルセデス・ベンツのダイムラーの排ガス不正が問題となっています。
先日、「メルセデス・ベンツも排ガス不正？ダイムラーにドイツ検察が捜査へ」と言う記事で第一報を当サイトでも報じています。
その後、ダイムラーは報道及び不正の追及に反発し、あらゆる法的手段で対抗する、との方針を示していました。
しかしながら今回約300万台のディーゼル車をヨーロッパで自主的にリコールすると発表。自信があるならリコールなんぞせんでもいいじゃないか、と思わないでもないのですが、問題が大きくなって手に負えなくなる前に手を打ったという側面が伺えます。
先行して排ガス不正問題が発生したVWは、リコール費用もさることながら、政府に対する多額の制裁金の支払いも求められた経緯があるので、先にリコールを行っておいて政府からの制裁金を回避、との意図も存在の様子。（ブルームバーグ）
いずれにしても、何ら問題ありません、と突っぱねていたダイムラーがヨーロッパでのリコールという形で遂に動いたことになります。
メルセデス・ベンツ日本法人は詳細を確認中
ヨーロッパでリコールとなると日本への影響も考えられますが、現在（17/7/20時点）では詳細を確認中、とのこと。
ベンツの販売全体の約6万7千台のうち約2割がディーゼル車だった。メルセデス・ベンツ日本（東京・品川）は今回の問題について「詳細を確認中」としている。（17/7/20日本経済新聞）
日本はベンツの約2割がディーゼルエンジンだそうで、意外に多いな、という印象。VWの排ガス不正の際も、ウチは違う、と積極的にディーゼルエンジンのよさをアピールしていましたが、ある意味結果に繋がってます。ディーゼルエンジンに対して正直あまり良い印象がない日本で、ディーゼルエンジン率約2割って、頑張った数字ではないかと。
今回その頑張りがアダとなってしまう可能性もありますが。いずれにしても、ベンツの日本法人は本社の指示待ち。しばしお待ちあれ、という状況でしょうが、現場のディーラーの営業マンはフォローで大変だろうなぁ。
ダイムラーの株価は今の所は殆ど影響なし
ダイムラーのベンツに排ガス不正が報じられた後も、ダイムラーの株価はそれ程影響を受けていません。下記がダイムラーの3年分の週足チャート。
※チャート画像はTradingViewを利用
ダイムラーの株価は、60～72ドルのレンジ相場に入っている状態です。今回の排ガス不正の問題が拡大して60ドルを明確に下に抜けてくると、排ガス不正問題を契機に株価は下落、との事態になりますが、まだ2ドル程余裕があります。
株式市場は今の所、ダイムラーの排ガス不正問題をそれ程懸念していない、との状態になっています。
まとめ
徹底的に法的手段で争う、とのダイムラーの姿勢に変化が生じたのは大きなポイントですが、まだダイムラーの排ガス不正問題は白黒ハッキリした訳ではありません。今後の展開次第では、更にリコールの対象が拡大する可能性もありますし、そうなれば日本で販売のベンツもリコール対象となる可能性が高くなります。
VWの時は、日本では殆ど販売されていない車種だったので日本への影響はありませんでしたが、ベンツの場合、問題が本格化するとベンツの2割がディーゼル車だけに影響は避けられないのではないかと。
まぁ、高級車のベンツ、庶民にはあまり縁のない車ではありますが、心配しているオーナーも結構おられると思います。ダイムラーの排ガス不正問題、今後どんな経緯をたどっていくのか、注目したいと思います。
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