ソフトバンクが携帯子会社を上場の方針、子会社上場を東証は認めてしまうのか?

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ソフトバンクが携帯電話子会社の2018年内の上場(IPO)を目指すとの記事が日経新聞に掲載。

一見するとメデタイ記事ですが、IPO業界としては非常に面倒なお話となります。十数年かけて進めてきた親子上場の解消、ほぼ定着した感もありますが、ソフトバンクのお話は、持ち株会社で本業の子会社の上場という重複上場のど真ん中の案件。

東京証券取引所の判断が注目されます。

ソフトバンクが携帯電話子会社を年内上場方針

月曜の日経新聞ってニュース的にはあまり読むところがないのですが、今日(1/15)の一面には驚きました。ソフトバンクが携帯電話子会社を年内に上場方針だそうな。

ソフトバンクグループ(SBG)は参加の携帯事業家医者ソフトバンクを東京証券取引所第1部に上場させる方針を固めた。年内の上場に向け東京などと近く本格的な調整に入る。(18/1/15日本経済新聞)

ソフトバンク株は個人投資家に人気の銘柄だから、おーっスゲー、と単純に思ってしまうところなんですが、この話あまり筋のよい話ではありません。

現在上場しているのは持ち株会社のソフトバンクグループ

現在上場しているのはソフトバンクグループの持株会者のソフトバンクグループ。今回上場が取り上げられているのは子会社で、実質的な事業実態の携帯電話会社ソフトバンク。携帯子会社のソフトバンクの上場が認められてしまうと、東京証券取引所が十数年掛けて取り組んできた子会社上場の解消が、また振り出しに戻ってしまいます。

ま、例外のない規則はない、とは言いますが、ソフトンバンクの携帯電話子会社の上場は子会社上場の中でも、持ち株会社で本業の子会社の上場という重複上場のど真ん中の案件。コレを認めてしまうと東証のIPOは何でもあり状態になってしまいます。

東京証券取引所の判断が注目される

簡単に言ってソフトバンクグループの携帯子会社の上場は、東京証券取引所が認めるかどうか、にかかってきます。

M&Aや社債の発行やらでソフトバンクの活動の恩恵を広く受けている証券会社は、ソフトバンクの姿勢を後押しするに決まっています。

個人投資家とすれば儲けさせてもらえれば何でもOKとの面は否定しませんが、今回のソフトバンクの子会社上場を認めてしまうと、東証が十数年掛けて手がけてきた重複上場の解消、ホント何だったのか、と言うことになります。

有名企業だから特例、との考えも正直無しじゃありませんが、それにしても持ち株会社で本業の子会社の上場という重複上場のど真ん中の案件であり、さすがにコレを認めてしまうのはやりすぎと考えます。

資本市場の後進性の証、とまで言われていた日本の親子上場、東証の意思の下で入り口(=IPO)を塞いで、上場していた子会社は徐々に親会社が完全子会社化する等で非上場化し、完全解決とはいえないまでもかつてのような何でもありの状態ではなくなった今、ソフトバンクの携帯子会社上場案件、東証がどのような判断を下すのは非常に注目されます。

ソフトバンクの今回の案件が認められるなら、サントリーの持ち株会社上場も認めざるを得ないんじゃないかな、と思います。

関連記事:サントリーの株式上場(IPO)はやり過ぎではないかと思う件

借金大王のソフトバンクは手持ち資金を厚くしたいとのニーズが存在

グループ全体で既に10兆円を超える借金額となっているソフトバンクは、借金ではない手持ち資金を厚くしたい、とのニーズが常に存在しています。

関連記事:ソフトバンクの借金が10兆円オーバー、返済の山は2018年と2020年

借金=人の金、であるのに対し、増資資金=手金、となります。借金は期限がこれば返済する必要がありますが、手金は返済する必要がありません。手元資金が豊富であれば、更なる借金も可能ですし、また何よりもイザと言う時の企業経営上の安心感につながります。

既に上場している企業の資金調達手段としては、銀行借り入れと公募増資による資金調達が2大手段ですが、ソフトバンクの場合、これ以上の借金はリスクが高いし、ソフトバンクに限らず増資で株数は基本的に増やしたくはありません。

そんな訳で子会社の上場ができれば、親会社の財務的には何らマイナスもなく資金調達が可能と言う、ある種の魔法のスキームですが、それはおかしいでしょ、と言うことで東証及び証券界が取り組んできたのが、ここ十数年の流れ。

ソフトバンクの携帯子会社がIPOしても、非常に優良会社のIPOにはなるとは思いますが、会社の内容ではなく、IPO業界全体として今回の件の行方は大いに注目されます。

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NY市場で上場ならありえる

原則論で言えばソフトバンクの携帯子会社の上場は東証が認めないので実現不可能です。ただしニューヨーク(NY)市場なら上場できるかも。

ソフトバンクが投資して大きな果実を得た、アリババは上場する際に持ち株会社の子会社上場を認めるNY市場に上場しています。

当初は香港市場に上場を目指していたアリババですが、香港市場が持ち株会社の子会社の上場を認めず、NY市場に上場した、との経緯があります。

アリババは本国市場で上場せずアメリカで上場、とセンセーショナルに記事化されたこともありましたが、事情としてはそんな感じ。NY市場の上場規則の詳細は分かりませんが、アリババの例があるのでソフトバンクもストレートに子会社上場を勝負するならNY市場がよいかも。ただし何かやらかした時のリスクは、NY市場は東京市場の比ではありませんが。

日経の記事ではロンドン市場への上場も検討とありますが、東京もしくはNYの上場無しに、ロンドン単独での上場というのも資金調達規模の観点からどうなんでしょ。

東証が子会社上場を認めないなら、NYかロンドンで上場するのみ、とソフトバンクが東証に対して啖呵を切った時、どうぞご勝手になさってください、と言えるかどうか東証の鼎の軽重が問われるのではないかと。

まとめ

仮想通貨市場ほどではないにせよ、IPO市場もバブル的な状態にあるため、もし現在の相場状況が継続していればソフトバンクの携帯子会社のIPOも結構な調達額で投資家も儲けられる可能性があります。

ただね、持ち株会社で本業の子会社の上場という重複上場のど真ん中の案件であり、ソフトバンクが相手とは言え東証もコレを認めてしまうと、過去の否定に繋がりかねません。

面倒な話ですが、やはり筋論もなければやりたい放題になってしまいます、その面でソフトバンクが持ち込むであろう子会社上場のお話、東証がどんな判断をするのか注目に値します。

果たしてソフトバンクの携帯電話子会社は2018年内にIPO銘柄として登場するのか。興味深く見守りたいと思います。

IPO投資の基礎知識を下記でまとめています、ご興味あればご一読ください。
IPO投資の基本と儲け方

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