シャープがホンハイの支援受け入れを決定したものの、未だ両社で最終合意には至っていません。シャープは3月末に5,000億円規模の銀行返済が待っており、悠長に交渉している場合ではないのですが・・・。銀行の返済は待ってもらえるようですが、偶発債務の問題が嫌な予感を醸し出し始めています。
無事なる着地を願いつつも、流石にチト時間がかかりすぎていると感じる両社の最終合意、多少嫌な予感がして参りました。
概要
シャープがホンハイの支援受け入れを決めたのは2月末
シャープがホンハイの支援受け入れを決めたのは2月末でした。当サイトでも記事を書いています。
それから約1ヶ月。シャープは3月末に5,000億円規模の銀行返済が迫っており、悠長に交渉している場合ではないのですが、依然として両社が最終合意した、という話は聞こえてきません。
まぁ出資額の減額、という話は、交渉上手なホンハイ相手なので、さもありなん、という感はしますが、それでも時間がかかってるな、という印象。
「鴻海 出資2000億円減…シャープ買収交渉で要求」(毎日新聞)
とりあえず銀行は、返済を待ちましょ、というスタンスなので、3月末が乗りきれない、という事態は避けられます。
シャープとホンハイの関係、偶発債務の問題が出てから、なんだか雲行きが怪しくなった感がありますが、果たして実際はどうなのか?色々勝手に考えてみました。
偶発債務は普通にデューデリすれば把握できる問題、ホンハイ流の交渉術
管理人は当初からこのスタンス。ただし時間がかかっているので、嫌な予感はし始めていますが。
偶発債務、と大げさに言われますが、企業のM&Aの場合、真っ先に調べる事項ではあります。ホンハイは会長のトップダウンでシャープの買収を決めたっぽいので、通常のディーデリプロセスをすっ飛ばした結果、後になってシャープから偶発債務のリストを渡されて、なんじゃこれは!、とビックリ。当然、産業革新機構は偶発債務の存在については当の昔にお見通しで、だからホンハイより安い価格で提案したんですよ、というお話。
けど客観的に見れば、当然行うべき工数に手を付けなかったホンハイが抜けてるだけでは?、と思わなくもないです。
で、最終合意の前にホンハイがギリギリの交渉している状況。決済の前に最後の交渉する、って交渉術としてはありえますので。このシナリオであれば、要は交渉の問題なので、遠からずシャープとホンハイの最終合意はなされると考えられます。
実はトンデモ系の偶発債務が存在の可能性
ここ20年の会計制度の改正で、日本の会社の決算書はそれ以前の決算書と比べて、比較にならない程信頼性が高まっている、と管理人は思っています。ただし、東芝の不適切会計問題で、やはり会計制度にも限界があるのね・・・、と感じているのも事実。
考えたくはありませんが、シャープも実は公表されている決算書の裏側に大きな問題をはらんでいる可能性だってあります。
東芝の問題を振り返ってみれば、焦点は原発の減損問題だったハズが、何とビックリ家電とPC部門が大赤字で原発事業の減損の前に屋台骨がボロボロじゃないか、ということで大騒ぎになり、現在に至っています。
要は原発に焦点があたっていると思ったら、実は他の事業にも大きな穴が空いていた、ということ。
シャープの場合、事業で言えば液晶の不審、に尽きる訳ですが、在庫なり何なり、実は決算書に現れていない問題があるのかもしれません。まぁこれは想像の域を出ませんが。
けどシャープとホンハイの最終合意、時間がかかっているので、流石にチト嫌な予感がし始めています。東芝の例に習って、実は搦め手から火が吹き始めました、何てことにならないとよいのですが。
何かあれば在庫の問題では?
東芝の場合は、原発以前に家電とPCが大赤字でした、というお話でした。じゃあシャープで何かあるとすれば、恐らく在庫の問題では?
シャープが液晶の在庫を常に過大に抱えているのは、新聞・雑誌で以前より指摘されていました。確かに現物の在庫はそれなりの規模だったとしても、過去の在庫を会計的に適正に処分できてないとすれば、減損の対象になります。ただでさえ資本金がカツカツのシャープ、過去の在庫の評価損を計上すれば、一発で債務超過の可能性も。
あと忘れ去られた感もありますが、シャープはかつて液晶と太陽光パネルの2本足を目指した時期があります。その太陽光パネル事業についても、以前在庫の問題が指摘されていました。
まぁ想像でモノを言うのはよろしくないので、ここまでにしますが、シャープの場合、ここから先に何かあるとすれば、メーカーとしては古くて新しい”在庫”の問題ではないかなぁ、と思います。ええ、何もないことを願ってはいますが。
「シャープ崩壊」はドキュメンタリーっぽく面白かった
日経新聞が書いた「シャープ崩壊」。管理人も読んでみました。ちょっとしたドキュメンタリーっぽくって面白かったです。ドキュメンタリーっぽい内容なので、スラスラ読めます。
副題に、名門企業を壊したのは誰か、とあり、役員個人にも焦点を当てている点もなかなか読み応えがあります。
この本だけで別途記事も書けるくらい思う所はありますが、驚いたのは、シャープ程の会社でも役員間でやってたことは、中小企業と同じレベルだったのね・・・、ということ。
元々シャープは家電メーカーとしては後発組で、液晶で一気にブレイクした歴史の会社ですが、会社としての体質は中小企業のままで大企業になってしまったのかも、と思わずにはいられませんでした。
出張等で移動時間が多い方なら、行きや帰りの電車や飛行機で読み切れます。読み物として純粋に面白かったです。
まとめ
シャープがホンハイの支援案受け入れを表明してから約1ヶ月。なかなか最終合意に至らないなぁ、と思っていたら、支援金の減額等の話が流れてきました。まぁ支援金が減っても、ちゃんと支援が実行されれば問題ありません。
しかし時間かかるなぁ、と思ってます。だいたい時間がかかると、よいことが無い訳で、多少嫌な予感がし始めている今日この頃。シャープは東芝のように、粉飾決算的なことをしていないことを願うのみです。産業革新機構がデューデリしてるので、それはないと思いたいのですが。
気が付けば世界の景気が変調をきたし始めている昨今、早期にシャープとホンハイが最終合意に至ることを願いつつ、今後の状況も追っていきたいと思います。
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