トランプ大統領は日本に為替の円安是正でなく貿易赤字削減を求めている?

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 大統領就任2週間もまだ経っていませんが、トランプ大統領が既に大活躍状態。国際的には入国規制の大統領令が大きな話題になっていますが、日本についても通貨政策を批判。中国、日本、ドイツが揃ってその通貨政策を批判されています。

 日本政府は、最近は為替介入していないしその批判は当たらない、とのスタンスですが、実はトランプ大統領が求めている本丸は”貿易赤字の削減”コレでは?

 中国を筆頭に、2位ドイツ、3位日本、4位メキシコと並ぶ、アメリカの貿易赤字国。いずれの国も批判の矢面に現在立っています。そう考えると、安倍総理がいくら麻生大臣を引き連れて説明に上がった所で、Why?、と言われて終了のような気が・・・。

 中曽根政権時代の対米貿易赤字削減の風景が、再度日本に巡ってくるのかもしれません。

遂に各国の通貨政策に批判の矛先を向けたトランプ大統領

 戦う男・トランプ大統領。入国規制の大統領令は国際的にも国内的にも大きな批判を受けてますが、意外や意外、国内の世論調査では約半数が規制を支持しているという結果、よってトランプ大統領はそれ程気にしている節がありません。

 そんなトランプ大統領の次の矛先として向かっているのが、各国の通貨政策。強いアメリカを取り戻す、と言って大統領に当選したトランプ大統領、ドルが他の通貨に対して強ければ輸出は伸びない訳で、ドルに対して通貨が安くなっている国が批判を受けています。

 その筆頭は中国ですが、日本・ドイツもその通貨政策を批判されています。そしてトランプ大統領及びその側近の為替に対する発言で、為替市場は振り回されています・・・・。

 そして同盟国でありながら、モロに批判を受けた日本政府はエライコッチャ、と大騒ぎ。2月に予定されている日米首脳会談でトランプ大統領の誤解を解こうとしています。

2011年の直接介入以降も実質的には通貨安政策の日本政府と日銀

 日本政府は2011年の為替介入以降、直接的には為替市場を操作するようなことはしていません。ただし、日銀の量的緩和は基本的には円安誘導政策であり、それは市場関係者の衆目の一致する所。

 日本銀行は政府から独立している、という建前になっていますが、黒田総裁を送り込んだのは安倍総理であり、現在は安倍総理の意向の下に金融政策を行っています。(日銀はそれでいいのか、という問題はありますが)

 建前としては、日銀は政府とは独立した組織だし、直接的に為替介入していないし、日本国政府は為替を操作なんぞしておりません、と言うことになりますが、日銀が政府の強い影響下にある現在、そんなのは建前に過ぎない、と言うことは皆さんお見通しです。

 まぁこれまではオバマ政権が、直接手を下さなければいいんじゃないの?、的な雰囲気の中で、日銀の量的緩和の各種政策はお目こぼしにあっていた、というのが実情じゃないかと。

 そして政権が交代して、実質的には為替の操作しているのと一緒じゃないか?、とトランプ大統領は言ってます。こう言われてしまうと、へへー、と平伏するしかないのですが、さすがに交渉の都合上、それはできません・・・。

 ま、いずれにしてもゲームのルールが変わってこれまでのお目こぼしが通用しなくなった、というのは間違いないと思います。

トランプ氏は日本批判の際に「資金供給」という言葉を使った。「通貨安」の原因として日銀の金融政策まで批判される懸念が出てきた。(日本経済新聞2017/2/2)

 トランプ大統領は全てお見通しのようです。

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トランプ大統領の目的は貿易赤字の削減では?

 トランプ政権の発足直後から、批判の矢面に立っているのは、中国・日本・ドイツ・メキシコ。実はこの4か国、アメリカの貿易赤字国ベスト4となります。圧倒的に多いのは中国ですが。


・日本経済新聞(2017/2/2)

 でこれまでのトランプ大統領の言動を見ていると、トランプ大統領はアメリカに雇用を戻すとともに、貿易赤字の削減を目標としているような気がしてなりません。元々実業家のトランプ大統領、数字を追いかけるのは間違いなく好きなハズで、アメリカにとって改善すべき数字は何かといえば、手っ取り早くできるのは貿易赤字。財政赤字は国内問題であり、敵を作ってやっつける的なパターンが通用しませんが、貿易赤字は外に敵を作ってやっつける、というアメリカ人が好きな、正義の味方的なパターンが通用するので、トランプ大統領としても非常に扱いやすいテーマ。
 尚且つアメリカの貿易赤字はそれこそ共和党のレーガン政権からの問題を引きずっており、貿易赤字を大幅に改善したとなれば、トランプ大統領は間違いなく、歴史に名を残す大統領となります。ま、既に色々な意味で歴史に名を残す大統領確定とは思いますが。

 と、考えていくと、トランプ大統領は日本の通貨政策を批判していますが、本丸は貿易赤字の削減ではないかと。よって安倍総理と麻生財務大臣が揃ってご説明に上がっても、それは分かったじゃあ何してくれるの?、と言われてしまうのでは・・・。

 まさか政府のお金でアメ車を買う訳にもいかず、となるとアメリカから日本が買えるものって・・・、という議論になりそ。そうなるとかつて来た道、農産物を買うしかないのか、という議論になっていくような・・・。

 尚、2月10日の日米首脳会談の後、安倍総理とトランプ大統領はエアフォースワンに乗り込んでトンラプ大統領の別荘に移動、食事会そして翌日はゴルフの予定。トランプ大統領としてみればチョットした接待ですね。

関連記事:安倍首相がエアフォースワンでトランプ大統領から接待される

 ちなみに中曽根政権の際に、対米赤字削減の一環として、政府専用機としてボーイング747を2機購入してますが(予算は2機で360億円)、覚えている方は案外少ないようです。ちなみに今回は既に次の政府専用機としてボーイング777を2機発注済みなので、前回と同じ手は使えません。

現在の政府専用機の購入も元はと言えば対米赤字削減の一環

F35の大量購入を迫られるんじゃないかと

 先日何気に見ていたら、アメリカ軍の主力戦闘機F35がトランプ大統領の要求を受けて製造元のボーイングが700億円を値下げしています。

F35を700億円値下げ トランプ氏が表明「ロッキードに感謝」 (日本経済新聞)

 バナナの叩き売りじゃあるまいし、ツイッターで要求したら戦闘機が700億円値下げできました、って絶対にカラクリがあるハズ。

 なんだか日本政府がその肩代わりさせられるんじゃないか、と個人的に危惧しています。既にF4戦闘機の後継機種として日本はF35を発注済みで初号機を受領して現在アメリカ本土で訓練中ですが、次に現役の主力戦闘機のF15の後継機種選定が迫ります。
 自衛隊は自国の戦闘機生産に意欲を見せていますが、恐らくアメリカ様はそれを許してはくれないでしょう、残念ながら。となるとアメリカから買うしか日本は選択肢はないのですが、そこに丁度F35がピタッとはまります。

 F35は世界各国で分担して開発したという経緯もありますが、日本はその開発プロジェクトに参加しておらず、購入の際は高額の支払いが発生することになります。

 アメリカから買えるものって、農産物や軍事用品程度しか見当たらないので、貿易赤字削減のためにF35の購入をよろしく、と言われると正直飲まざるをえないんじゃないかと。ま、勝手な想像ですが、F35がツイッター1つで700億円の値引きって、日本が関係せずとも何かしらカラクリがあるとしか思えません。

 何とか交渉してF35のライセンス生産に持ち込めれば御の字じゃないかなぁ。今は完全に買うだけなので。
 
 スミマセン、軍事マニア丸出しかもしれません・・・。

自衛隊向けF35のお披露目式典の様子

まとめ、トランプ大統領の真意を見誤らないことが大切

 センセーショナルな発言で物議をかもしているトランプ大統領ですが、決して頭が悪い訳ではなく、基本的にはビジネスベースのパフォーマンスの面があります。そんな訳で、トランプ大統領の目的は一体なーに?、と考えると色々なものが見えてくるんじゃないかと。マスコミもあおってナンボの所があるので、表面的な出来事を面白可笑しく書きますが、その裏にはトランプ大統領としての明確な目的があるハズ。何せビジネスマンなんですから。

 そんな訳で日本は為替操作国には当たらない、と政府は説明してマスコミも報道してますが、理由はどうであれトランプ大統領が対日貿易赤字の削減を要求している、という視点で見ると、トランプ大統領の真意は比較的クリアに見えてきます。ま、クリアに見えた所で、困った事態には変わり有りませんが。

 当たっているかどうかは分かりませんが、2月の日米首脳会談、安倍総理はトランプ大統領から大きな宿題をいただいて帰国することになりそうです。宿題は即ち対日貿易削減のための”買って欲しい物リスト”ではないかと勝手に推測しています。

 さてトランプ大統領、今後日本に対してどのような発言をすることになるのか?ちょっと注目してみようと思います。

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