シャープは液晶でJDIと最終決戦を決意!

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 再度の経営危機に陥っているシャープ。様々な噂が流れていましたが、どうやら自主再建を目指す方向のようです。そのリストラの内容からは、将来性のある中小型液晶部門で、ジャパンディスプレイ(JDI)とガチンコの最終決戦を挑む、と読めます。

 液晶のシャープと言われ続けたシャープ、もう完全に腹をくくった状態。シャープとJDIの最終決戦スタートとなりそうな今後、勝利の女神はどちらに微笑むのか?
 JDIがシャープを飲みこむ可能性もありますし、逆にシャープがJDIを飲みこむ可能性だってありそうです。(2015年5月15日更新)

シャープの2015年のリストラ内容

 2015年のシャープのリストラ内容、5月14日の中期経営計画発表時に公表されるようですが、報じられている内容は下記の通り。

  1. 海外テレビ3工場の売却交渉開始
  2. テレビの栃木工場の閉鎖検討
  3. 電子部品の国内4工場(主に岡山県)を閉鎖
  4. 汎用品の太陽電池生産から撤退
  5. 3,000人規模の希望退職募集
  6. 大阪市阿倍野区の本社ビルを売却
  7. 液晶事業の分社化を検討
  8. 3年間で2,700億円を投資(その内、液晶パネルは1,400億円)

 ①~⑥はこれまで既に報じられていた内容で、通常のリストラの範囲。岡山県西部の2号線を車運転していると、シャープの関係工場をいくつも目にしますが、あの工場群無くなってしまう見込みです。

 それと⑥の阿倍野のシャープ本社ビルの売却、一旦売却して家賃払って入居するのか?結構年季の入った建物なので、別の所に引越すと、家賃負担重くなる可能性ありそうですが。絶好調の時は、あべのハルカスにシャープ本社が入る、とも言われていましたが、今はその芽は完全になくなりましたね。

 そして注目すべきは⑦と⑧。⑦の液晶事業の分社化は既に報じられていましたが、⑧3年間の投資額の約半分を液晶パネル、それも中小型液晶にブチ込む、というのは驚きです。

 そして5月15日に最終的なリストラ計画がシャープより発表されました。事前に報じられていたリストラ案と比べると、工場閉鎖は無くなっています。

シャープは中小型液晶での最終決戦を決意したようです。

事業別では中小型液晶にほぼ半分の投資を振り向ける。当初は液晶依存の収益構造からの脱却を描いたが、当面は世界で需要が広がる中小型液晶パネルで勝ち抜くことが重要だと判断した。(4/24付日本経済新聞)

 シャープは中小型液晶部門を分社化して、その会社に産業再生機構にも資金を出してもらって液晶部門を立て直す、というシナリオが報じられていましたが、どうやらシャープは当面は独力で液晶部門戦っていく決意をしたようです。

 2013年の中小型液晶の市場シェアのトップはLGディスプレイ、2位はジャパンディスプレイ、3位はシャープ。

中小型液晶の市場シェアの動画を発見

 1~3位までのシェアは十分逆転のできる範囲。シャープとしては、一気に中小型液晶に投資して、トップに立とうという戦略。

 ただし逆に、既に追い詰められているシャープ、今回の中小型液晶への集中投資が失敗すれば、倒産か解体かの二者択一、恐らく今のままの姿ではいられません。完全にシャープは腹をくくって勝負に出るようです。

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シャープは倒産?それともJDIを飲みこむ?

 LGとシャープとジャパンディスプレイ(JDI)の3つ巴の戦いの中小型液晶市場。シャープはこんな状態ですし、JDIだって下方修正繰り返しシンドイ状況に変わりはありません。

 今回のシャープの集中投資で、シャープがぶっちぎるようなことがあれば、JDIは危機的な状況に陥り、シャープがJDIを救済、という可能性だって出てきます。逆に、シャープの集中投資がうまく行かなければ、以前から言われている、JDIによるシャープの中小型液晶部門の吸収というのが、現実味を帯びてきます。
 
 これまではJDIによるシャープの液晶部門の救済(まぁ、JDIがシャープを救済するのではなく、半分政府の産業革新機構が救うのですが)ばかりが話題になっていましたが、シャープの今回の渾身一擲の試みが成功すれば、逆にシャープがJDIを救済、といった話も十分にありえます。

 その意味では、シャープとJDIは完全に食うか食われるかの世界に入った、と言えそうです。

 日本企業同士で何やってんだか・・・、という経済産業省の方々の溜め息が聞こえてきそうですが、そもそも半分税金使ってJDIを立ち上げなければ、シャープの今の苦境も無かった訳で、最後は市場原理に委ねる、ということでよいのでは?

15.4.24勝負-min
シャープは大勝負に勝てるのか?

銀行はDESでシャープの最終決戦を支援

 シャープの最終決戦に向けて、メインバンクのみずほ銀行と三菱東京USJ銀行はデットエクイティスワップ(DES)2,000億円を受けて支援。

 ただし銀行側の思いも複雑なようです。

「シャープ支援、液晶事業分社化で交渉難航 三菱UFJ、みずほ銀が内定」

 ある意味では、手切れ金に近い形の今回の銀行のデットエクイティスワップ、ご武運をお祈りします、と言いつつも、失敗したらこちらの言うこと聞いてね、とのスタンス。
 今回のシャープの試みが失敗すれば、シャープという会社は解体、という方向になる可能性が高そうです。(銀行がデットエクイティスワップを受けたということは、銀行が株主で債権者ということになり、銀行が一番強くなりますので)

JDIも体制一新で迎え撃つ考え

 面白いのは、日本経済新聞4/24号のシャープの記事のすぐ下に、ジャパンディスプレイ(JDI)の役員人事の記事がある所。

 JDIは創業メンバーの大塚周一社長が退任し、元三洋電機副社長の本間充氏が会長兼CEOに就任し、現取締役の有賀修二氏が社長兼COOに就任すると言う人事を発表。

 JDIも体制一新で、シャープを迎え撃つ構え。既にシャープとジャパンディスプレイの最終決戦は号砲が鳴っているようです。

まとめ

 まだシャープが分社化した中小型液晶分に産業革新機構が出資して・・・、という可能性は残っていますが、シャープの投資計画は、外からの支援を期待せず独力でやっていく(革新機構側が求めている51%超の出資はありえない)、という決意表明。

 虎穴に入らずんば、虎児を得ず、との言葉通りの展開になりそうですが、うまくいけばシャープがJDIを飲みこむ=革新機構がシャープにJDIを助けてほしいとお願いに上がる、可能性だって出てきます。

 流れの速い中小型液晶市場、結果は2~3年内に出そうです。果たしてシャープの渾身一擲の賭けは、吉と出るのか?凶とでるのか?今後の展開、目が離せなくなってきました。

シャープが減資へ、生き残りに腹をくくったようです

 シャープが減資、と報じられています。面子もかなぐり捨てて生き残りに突き進むシャープ。死に物狂いのシャープ、今後の一挙手一投足に注目が集まります。

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