東芝の会計問題、粉飾決算の典型的な手口で驚いた件

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 会計問題で未だ決算発表ができない東芝。その会計問題、日経新聞を見て驚いた。典型的な粉飾決算の手口じゃないか・・・。

 会計問題で未だ決算発表ができない東芝。昨日株主総会が行われ、会計問題について現在の調査状況の説明がなされたようです。その説明の内容が日経新聞に記載されていましたが、内容を見て驚いた。典型的な粉飾決算の手口じゃないか・・・。

 東芝は一体、どうしちゃったのでしょうか。

東芝の不適切会計、その手法

 管理人は基本的にチャート屋と思っています。ただし、何故か簿記2級を持っていたりもするので、最低限の会計のことは分かります。その昔、新興株バブルの頃、新興上場企業の財務分析するのが趣味だった頃があったりして。そんな訳で東芝の不適切会計、いったい内容がどうなっているのか手法を見てみます。

 6月26日の日経新聞には、主に4つの事業が取り上げられているので、部門別に見ていきます。

①テレビ部門→販促費、宣伝広告費の非計上及び仕入・支払いの先延ばし
 費用の非計上だったり先送りだったり、ってもう典型的な粉飾決算の手口。会計の教科書を見れば、キャッシュ・フロー計算書を見れば一発で分かります、と書いてある項目です。
 しかし宣伝広告費等を費用計上しないって、東芝ほどの会社が何をしているのだろう・・・。儲かった時に費用計上する、という考え方でしょう、恐らく。ただし、儲かる時が来ずにズルズルと毎期費用が先送りになっていき、ある時一気にそれがバレてドカーンといくパターンが多いですが、東芝もそのパターン?

②半導体部門→利益や在庫評価額を課題に計上
 要は在庫の過大計上。100円で売れると思って貸借対照表(B/S)に1個100円で計上していたら、実際の売価は50円。仮に在庫が1億円あるとすれば、5千万円を本来、損失計上する必要があります。市況が回復するかもしれない・・・、という説明があるかもしれませんが、電子部品は生鮮食料品と一緒。確かに腐ることはありませんが、値段は下がる一方です、身近な例では自作でパソコン作っていると実感できます。

 それと見積もり原価の問題。ただし日経新聞の記事を読む限りでは、ちゃんとかかった費用を原価に乗せていない、ということで見積もり原価というより、こちらも会計の問題=本来の費用計上がなされていない、ということかと。

③パソコン部門→部品取引で利益を過大計上
 東芝のパソコンは部品を製造委託先に販売して、その後にパソコンを東芝が買い戻すという商流のようです。そこで委託先に部品を売った時に利益計上して(買い戻し分も考慮して)、これを利益Aとします。それでこの引き取ったパソコンが、利益が出る価格で販売店に売却できれば利益Bが発生。利益はA+Bとなります。
 ただし、値下がりの激しいパソコン。販売店にパソコンを売却した時に原価を割れて利益が出なければ、Bはマイナス。さらに利益の出ないパソコンを在庫で抱えたままだと、更に値下がりが続き在庫のパソコンも評価損として▲Cを計上する必要がでてきます。

 こんな構図で考えると、パソコン事業はAだけ計上していて、BやCは計上していなかった、ということに。
 パソコンの値下がりはあっても、適正な在庫量を維持して、在庫が回転してBを適宜マイナスで計上していれば、別にCは評価減の計上せずにすみそうですが。

 売ると損失計上になるパソコンを在庫として寝かせてあったのか、単にBをマイナス計上しなかったのか、その両方かは、今後の第三者委員会の報告待ちです。

④インフラ部門→利益を過大計上
 インフラ部門が当初に問題となった部門。案件を受注したはいいが、実際費用を計算すると黒字の案件だったハズが赤字でした、というものです。開発系n会社ではよく聞くお話。

 こちらについては既に過去記事を書いているので、そちらをご覧ください。
「東芝の下方修正はスマートメーターが原因?企業買収(M&A)失敗の典型例?」

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まとめ

 東芝の不適切会計問題、何のことはない会計の教科書や、粉飾決算の本を読むと書いてある、典型的な粉飾決算の手口。いや粉飾決算という言葉が厳しいようなら、会計的に一番誤魔化しに気をつけないといけない部分。

 今後は何でこんなことになってしまったのか、ということが焦点になりそうです。中小企業の場合は、経営者が粉飾の意図をもって・・・、と言うケースが殆どですが、東芝程の大企業、部門も多いだけに、経営者の意図、では片付けられないのでは?企業風土というか、各部門が少しずつ許容範囲と思って、会計的な誤魔化しをしていたら、こんなことになってしまいました、ということ?

 真相は第三者委員会の報告待ちです。

 個人的には、東芝ほどの会社が何をショボイことしているんだろうか・・・、というのが率直な印象。インフラ部門は、やってしまったのね、という感ではありますが、テレビ・半導体・パソコン部分は会計を多少知っていると、何やってんだか、と思ってしまいます。
 会社の屋台骨を揺るがすほどの事件、ということではないにせよ、ちょっと残念。

 それと、東芝が買収した会社等の「のれん代」が2014/3期のB/Sに1兆円も乗っています(資本の部は1.6兆円)。これは今回特に問題なくスルー?それならそれでよいのですが。「のれん代」に触り始めると、金額が金額だけにこれまで以上に大変ではあります・・・。

 今回の一件、会計的な誤魔化しを一度すると誤魔化しをし続けなければならなくなって、いつか必ず爆発する、という以前読んだ会計の本の一節を思い出しました。

 東芝の不適切会計問題、どんな形で着地をするのでしょうか。7月の第三者委員会の報告に注目です。

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