今秋にも再上場と言われていたUSJ。実は郵政3社のIPOより注目度が高いのでは?、とも言われていましたが、何とUSJの秋の再上場が事実上消滅。
USJの筆頭株主のゴールドマン・サックスが、USJの株式をアメリカのCATV会社=コムキャストに売却交渉中、と報じられています。実はコムキャストは傘下ににNBCユニバーサルがあり、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドを運営中。売却相手としては筋の通った相手です。
ただしゴールドマンは保有USJ株式の全株売却、という訳ではない様子。
USJの再上場、一旦仕切り直しとなり、上場時期は来年2016年3~6月もしくは9月以降となりそうです。
※2015年9月28日にコムキャストによるUSJの買収が発表され、USJの再上場は白紙化されています。
「コムキャストがUSJを買収(M&A)、ゴールドマンは投資を約3倍で回収」
概要
ゴールドマン・サックスがUSJ株式の一部を売却交渉中
もう今秋の再上場が確実と思われていたUSJ。まさかこのタイミングで親会社のゴールドマンサックスが株の売却交渉を行い、IPO延期となるとは思ってもみませんでした。
「USJ買収へ米メディア大手コムキャストが交渉 買収額は約7230億円にも 米紙報道」(産経WEST)
買収額7,230億円とは驚き。ゴールドマンはUSJの株を全株売却する訳ではなさそうですが、それでもこの売却が実現すれば、保有するUSJの株の大半の売却が実現することになります。
これだけの規模の株式売却ともなれば、単なる株式の移動です、ではすまされないので、新しい大株主を迎えた上での事業計画が再上場には必要となる訳で、当然再上場はその後で、ということになります。
何せ事業計画は新しい大株主と協議中、では予想PERも算出できないので、そもそも上場時の株価すらつけられません。
再上場目前、と言われていたUSJ、このタイミングでの上場延期は事情が事情とは言え、少々驚きです。
ゴールドマンはUSJの資金回収を優先
このニュース、要はゴールドマンはUSJの投資の回収を優先させた、ということ。
確かにIPOだと、一番高く株が売れる可能性は高いのですが、上場時の売出で売却できる株数には限りがあります(株主シェアで言えば20~30%程度)。
ゴールドマンもファンドでUSJの株式を持っている、即ち期限付きのお金です。再上場の際に売出で資金を回収しても、全株売却できる訳ではないので、2次売却のタイミングを測る必要があります。もしくは再上場後にどこかUSJの株を買ってもいいという先を見つけるか。
これって確かに上場で一部の株は高く売ることはできますが、全株の売却まで時間のかかる話で、結構不確実要素も多い話。仮に再上場したUSJ、初値が天井でした、何て事になると株式市場での第2次売却は非常に難しくなりますし。
そう考えると、7,230億円という大金払って今の段階でUSJの株を買ってくれる先があれば、ゴールドマンとしてはウェルカム。ここで殆どの投資資金の回収が可能になって、上場の際は売出で全株売却して、USJのEXIT完了!、ということが可能になります。
株は売却できなければ、いくら含み益があっても絵に描いた餅なので、絵に描いた美味しそうな餅よりも、若干味は落ちても確実に腹に入れることができる餅を食べることにした、ということです。
USJの再上場の時期、早ければ2016年3~6月もしくは9月以降
仮に今回のUSJの株の売却はなされても、USJの再上場、という方針自体は変わらないようなので、再上場の時期を推理してみます。
ちなみにやっぱりこの売却話なかったことになりました・・・、となれば再上場の準備は一旦ストップしただけ、ということで3月までの年度内の上場、と言うことになりそうですが。
大半の株が新株主に売却された場合、新株主と新しい事業計画書等を作成して・・・、となると基本的には前期(2015年3月期決算)というより今期の2016年3月期決算を使っての上場申請、となります。何せ前期とは経営環境が大きく変わることになるので。
となると、2016年3月期決算で東証に上場申請するとなれば、再上場は早くて2016年秋。1年延期となります。
どーしてももっと早く上場したい、ということであれば、期越え上場という手が無いわけではありません。2015年3月期決算を利用して、2016年3月期の決算が固まる前の2016年4~6月までに上場してしまう、という。
大きな環境変化や、業績が読みにくい会社の場合に期越え上場は使われます。以前、当サイト開設初期に取り上げた「中村超硬」が期越え上場を行っていました。
USJの状況=上場申請中に大きな環境の変化があった、を考えれば、期越え上場の可能性は無きにしも非ずです。
と言うことで、今回報じられているUSJ株の売却がなされると、USJの再上場の時期は来年2016年4~6月、もしくは来年9月以降、ということになりそう。
ちなみに6月に決算が確定すると、東証はその決算を審査する必要があるため、その時間を考えると7~8月の上場はまずありません。日本の会社3月決算の会社が多いので、9月以降のIPOが多くなるの、こんな所に理由があります。(USJも3月決算の会社)
沖縄USJへの影響は?
今回の株の売却話、USJにとっては株主の話であり、直接的な当事者ではありません。USJには一銭のお金も入りませんし。
そして、近頃話題になりつつあるUSJが沖縄に企画している新施設。当サイトでも以前取り上げました。
関連記事:USJは本当に沖縄に進出?再上場の打ち上げ花火にならぬよう・・・
沖縄USJ、600億円の投資で経済効果1兆円オーバーだそうですが、この600億円をどう調達するのかが、最大のポイント。
再上場の際に公募で調達、というのが一番キレイなシナリオですが、USJはこれまで再上場の際に公募はしない、と明言しており、この手は使えません。ただし今回の株主の大幅変更で公募ができるようになれば、沖縄USJの計画はグッと具体性が出てくることになります。
話題先行で、投資する資金をどうやって捻出するのか、が聞こえてこない沖縄のUSJの計画ですが、今回の株売却の話と直接関係はありませんが、ひょっとすると、お金の話が具体的に動くきっかけとなる可能性は秘めています。
USJ株の売却、オリエンタルランドが本命だったんだろうなぁ
一度上場するも、その後業績が低迷し、ゴールドマン・サックスによって非上場化したUSJ。非上場化した後の再上場って、正直な所、最後まで資金を回収するの結構な時間がかかるので、途中で会社を丸ごと売却するケースも多いです。
客観的に見れば、ゴールドマンはUSJを東京ディズニーを運営するオリエンタルランドに売りたかったんだろうなぁ、と思います。
金持ち会社のオリエンタルランド、USJを買収する余裕はあるし、テーマパークの運営ノウハウは日本一ときています。ゴールドマンでなくても、オリエンタルランドがUSJを買うというシナリオ、一番キレイにみえます。
ありとあらゆる手段を使ってゴールドマンをオリエンタルランドにUSJの売却を働きかけたんじゃなかろうか、と推察されますが、オリエンタルランドは頑として首を縦に振らず。で、やむなく再上場に舵を切ったところで、今回の話。
まぁ今回話の出ているCATV会社のコムキャストは傘下にNBCユニバーサルがあり、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドを運営しており、最終的な着地点としては、オリエンタルランドより、コムキャストの方が筋は通っていますが。尚、コムキャストという会社の詳細は下記をご覧下さい、アメリカの一大メディア企業グループを形成している会社です。
まとめ
今秋にUSJは上場するとばかり思っていたので、USJの上場延期のニュースは結構驚きました。
株主のゴールドマンの事情と、相手がNBCユニバーサルを傘下に持つコムキャストであれば、なるほど~、と思いますが、それにしても上場目前にコレをするか、とは思います。
ただし今回の株の売却話、話がポシャル可能性もありますし、USJも再上場を止めるわけではありません。
売却話がポシャれば年度内の再上場、売却がなされると来年4~6月or9月位以降の再上場、そんな感じで再上場に向けて、今後もUSJは進んで行くのでは?
USJの再上場の行方、今後も注目したいと思います。
PS その後、2015年9月28日にコムキャストによるUSJの買収が発表されました。USJの再上場は白紙化に。
「コムキャストがUSJを買収(M&A)、ゴールドマンは投資を約3倍で回収」