USENの非上場化の理由、遂にUSENを取り戻した宇野会長

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有線放送サービスを手掛けるUSEN<4842>が、動画配信会社のU-NEXT<9418>と経営統合し、8月10日付でジャスダック市場への上場廃止を決定。何故USENが上場廃止?U-NEXTは元はUSENの動画配信部門であり、尚且つU-NEXTを上場会社にまで持って行った宇野社長は、USEN会長でもあります。

ITバブルの寵児ともてはやされたUSENでしたが、動画事業への多額の投資が祟り、再建モードとなり宇野氏は経営の一線を外れ、市場からは長く忘れられた存在となっていました。自らUSENを取り戻した形となったU-NEXTの宇野社長、今後再びUSENグループを勢いのある会社とすることができるのか?今後に期待したい所です。

USENがU-NEXTと経営統合し上場廃止へ

有線放送サービスを手掛けるUSENが、動画配信会社のU-NEXTと経営統合、そして8月10日付でジャスダック市場への上場廃止を決定、と発表しました。

あのUSENが上場廃止か?、と思った方もおられるかもですが、このお話単なる上場会社の上場廃止話ではありません。その裏には壮大なドラマがあったりします。

USENとU-NEXTが経営統合に至る経緯

USEN=大阪有線放送と聞けば、あの営業の激しい会社か・・・、と懐かしい目で振り返る人も多いハズ。今回USENと経営統合するU-NEXTの宇野社長は、USENの現会長で創業者の息子且つ以前の社長。

2000年のITバブル期の1999年にUSEN宇野社長の下で上場を行い、一躍時の企業となりました。その後、今後は動画コンテンツの時代だ!、と巨額の投資を動画事業に行いますが、時代がUSENについて来ず、巨額の損失を計上して動画事業の大半はヤフーに売却し手仕舞い。

その後、再建モードとなったUSENは多額の負債を抱えており、実質的には銀行管理下に近い形となり、宇野社長は経営の一線を外れ社長も退任。そこで潰れなかったのがUSENの営業会社の面目躍如たるものがありますが、ともあれUSENは宇野氏の手を離れ再建の道を歩んでいくこととなります。

しかしながら動画配信事業への夢を捨てきれない宇野氏は、USENの動画配信事業の事業譲渡を受けて、2009年に自ら会社を設立しU-NEXTを立ち上げ。USEN時代は無料視聴の広告モデルで伸るか反るかのビジネスだったものを、月額有料制の堅い課金モデルのビジネスとして展開し、遂には動画配信事業の立ち上げに成功。そして遂には2014年12月には東証マザーズ市場への株式上場(IPO)を成功させます。その後、U-NEXTは上場市場を東証1部に指定替えして、現在に至っています。

そしてU-NEXTがUSENに対してTOBを行った結果、遂に8月にU-NEXTとUSENは経営統合を行い、非存続会社のUSENは上場廃止となります。

こんな感じがUSENとU-NEXTが経営統合に至る経緯。両社の経営統合、キーマンは当然のことながらU-NEXT社長でありUSEN会長の宇野康秀氏となります。

宇野康秀氏とは

ITバブルを知っている世代にとっては、USENの宇野社長と言えば、ある意味光輝く存在でした(過去形・・・)。

USEN創業者の二代目という表現は正直失礼な感じがします。寧ろ人材会社のインテリジェンスの創業者、との表現がしっくりきます。インテリジェンスの創業者でありながら、父親の懇願によりUSEN(当時は、大阪有線放送)の社長を引き受けた宇野氏。その後社内体制整備によるUSENの株式上場(現在もUSENの株主シェア約30%の株主)、そして将来事業の布石としての動画事業への巨額の投資、とホント2000年代初頭は時代の寵児でした。

またサイバーエージェント藤田社長が師匠と慕う存在でもあり、ITバブル期を語る際にUSEN及び宇野社長は欠かせない存在でもありました。

ただしITバブル崩壊後は前述の通り、USENも再建モードとなり、経営の一線から退きます。自ら手掛けた新規事業は次々と切り売りされる中、自らはU-NEXTで捲土重来を期すべく、U-NEXTの経営に専念。そして現在に至ります。

宇野氏はインテリジェンスを創業しIPOにまで至らせた、と言うだけでなく、U-NEXTも創業しIPOを実現。日本を代表する起業家であるのは間違いありません。そして遂にはU-NEXTをUSENと合併させることで、一旦自らの手を離れたUSENを、再び自らの手中にすることとなりました。

その経緯にドラマを感じざるを得ません。

ちなみに管理人、宇野氏を2~3度お見かけしたことがあります。小柄ですが、シャキッとした立ち振る舞いが印象に残っています。

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けどUSENの方がU-NEXTより売上・利益・時価総額は上

今回上場廃止となってしまうUSENですが直近の業績は下記。

16/8期 売上高736億円、経常利益95億円、当期純利益74億円
時価総額約950億円

一方のU-NEXTは下記。
16/12期 売上高458億円、経常利益▲4億円、当期純利益9億円
時価総額約200億円

上場廃止となるUSENですが、何のことはない存在会社のU-NEXTより売上・利益・時価総額の全ての面で上回っています。まぁ存続会社がドッチか、というのは形式的な問題だからどうでもいいのですが、少なくとも本来的にはUSENがU-NEXTをTOBしてもおかしくないのですが、今回は小(U-NEXT)が大(USEN)を飲む買収、となっています。

結構話題になってもおかしくないのですが、そこは宇野氏がUSENを取り戻したのね、と考えれば、あるべき所に帰結した、ということでそれ程話題にするような話でもありません。まぁ、英雄譚というか逆境からのサクセスストーリーとしては、格好の題材とはなりますが。

けどUSENは売上736億円で経常利益95億円ってスンゴイ会社ですね。まぁあの営業力は健在でしょうから、やはり営業力に圧倒的な市場シェアを持っている会社は強いよなぁ、と再認識できます。

社名変更は?次の社名はUSENクラウドとか

今回の経営統合でUSENグループは持ち株会社化されます。まずは、USEN-NEXT HDとしてで発足のようですが、また社名変更したりして。その昔、大阪有線から社名変更した時は有線ブロードネットワークスだったから、今回社名変更するなら、USENクラウド?USENIoT???

ま、上述の通り合併後も実体的には有線放送事業が事業の中心となるため、USEN-NEXT HDであっても主体はUSENです。まぁU-NEXTの“U”は”USEN”の”U”なので、社名はそのままでも問題ないかもしれませんが。

まとめ

USENがU-NEXTと経営統合で上場廃止、と聞いて、時代が一回転したなぁ、と思いました。宇野氏がUSENに完全復帰することで、再度USENが色々な意味で話題の会社となることを、ITバブル期を知る一人としては期待してしまいます。

しかし宇野氏の動画ビジネス、10年以上早かった訳です。ビジネスの目の付け所はよくても、タイミングが悪いとどうにもならないケースを、宇野氏の復活劇の裏に見ることも出来ます。

今後USENグループはどうなっていくのでしょうか。興味を持って見守りたいと思います。

PS その後、U-NEXTの動画配信事業は2020年8月期Q1に利益計上ステージ入りとなりました。
USENの動画配信事業(U-NEXT)が2020年8月期Q1に遂に利益計上ステージ入り

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