ソフトバンク株価が上がらない理由?スプリントが米国4位転落

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 ソフトバンクが2013年に買収した米国の携帯電話会社スプリント。スプリントは経営が苦しくなり、ソフトバンクに身売りをしたという経緯がありますが、ソフトバンクの傘下に入った後も、苦戦が継続。
 そして遂にスプリントは長年守っていた業界3位の座を譲り渡し、4位に転落する事態に。

 ソフトバンクはこのまま腹を括って米国に根付く努力を続けるのか、それとも損切して次の事業をタネを探すのか?ソフトバンクの次の一手に注目が集まります。

・スプリント関連の最新の記事は下記となります(2019年6月13日更新)
ソフトバンクGの借金削減に暗雲、スプリントとTモバイル合併に州が反対

ソフトバンクもスプリントの再建に苦戦


 当初ソフトバンクは、スプリントの買収後に業界4位のTモバイルUSも買収して、業界再編をした上で規模の利益を狙っていく、という作戦でした。ところが米国当局がTモバイルUSの買収に首を縦に振らず、スプリントはソフトバンクの下で単独で再建を図ることに。

 そしてソフトバンク傘下入り後も苦戦が続くスプリント、遂に買収しようとした業界4位のTモバイルUS、に業界3位の座を明け渡すことに。
 日経新聞(15年8月5日)に掲載されていたのが下記の携帯電話会社契約者件数の図。

15.8.5スプリント米国契約者数-min
日本経済新聞(2015年8月5日)

 僅かな差とはいえ、TモバイルUSに定位置の3位を明け渡してしまったスプリント。まだ差はそれ程はついておらず、巻き返しは十分可能ではありますが、約10年守ってきた業界3位の位置を明け渡した、というのは業界的には相当インパクトのある出来事と考えられます。

スプリントの株価、ソフトバンクは減損リスクも

 スプリントは米国市場に上場していますが、スプリントの週足チャートは下記のようになっています。

15.8.5スプリント株価-週足チャート-min
チャートはTrading Viewより

 うーむ、完全に下落トレンドのチャートですね。7月に入って2014年12月の最安値を下にブレイクしています。
 今の所、少なくとも週足チャートではスプリント株価の立ち直りの兆しは現れていません。

 株価は企業の将来を予想する、と考えればスプリントの株価は、業界4位への転落を予想していたのかもしれません。

 そして毎度ソフトバンクの決算の度に話題になるのが、スプリント株の減損問題。約1.8兆円を投じてソフトバンクが買収したスプリント、いくらアリババの含み益が7兆円あるとは言っても、スプリント株を減損するとなると、結構なインパクトがあります。
 業績は改善とか事業計画は進捗しているということで、これまでスプリントの株価は下落しても減損をせずここまできているソフトバンクですが、監査法人的にもスプリントの業界4位転落は結構インパクトが大きいような。

 ジリジリ下がり続けるスプリントの株価、そして業界4位への転落。ソフトバンクはスプリントの減損リスクと隣り合わせとなっています。

スプリントはパイが増えている米国で伸びがない点が問題

 既に人口減社会の日本を基点に見ると、既に携帯電話事業はパイの奪い合いのゼロサムゲーム。MVNOサービスの拡大で、ソフトバンクは一人負け状態なのが、ある意味象徴しています。

関連記事:ソフトバンクがMVNOでドコモの反撃にあっている件

 一方米国は、まだ人口が増加している成長社会。携帯電話事業だってパイ自体が成長しています。そんなパイの増えている業界で他社が契約数を伸ばしているのに、スプリントは1社のみ横ばい状態。

 市場が伸びている時は、成長市場にいるということで何とかしのげますが、市場の伸びが止まったりすると、スプリントは真っ先に影響を受ける立場にいます。市場全体の成長に助けられている面が大きいスプリント、ソフトバンク買収後もまだ、問題の根は深そうです。

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ソフトバンクの株価が上がらないのはスプリントが原因?

 真偽の程は何とも言えませんが、日経新聞にはソフトバンクの株価はスプリントが重石になっている、と説明されています。

 ソフトバンクとNTTドコモとKDDIの株価を2年分並べてみます。

ソフトバンク株価

関連記事:ソフトバンク株価の今後の見通し

NTTドコモ株価

KDDI株価

 国内携帯電話大手3社の中で、ソフトバンクのみ株価が伸び悩んでいるのはチャートから見ても事実。ただね、ソフトバンクは投資会社の顔を持っているので、そのまま素直にNTTドコモやKDDIの株価との比較を論じるのはどうかと。
 アリババの含み益でソフトバンクバンクの株価がカサ上げされている可能性もありますし、逆にアリババの含み益が正当に評価されず、株価は割安に放置されている可能性もあります。そしてソフバンクの株価には、孫会長プレミアがついていそうだし。

 いずれにしても、ソフトバンクは投資会社の顔も持っているので携帯電話会社事業だけの評価では不足、という点は頭の片隅でも覚えておいて損はないかと。

ソフトバンクはスプリントをどうする?売却か継続保有か決断の時は近い?

 最近は投資事業に再び力を入れ始めたソフトバンクの孫会長。

関連記事:ソフトバンクの年収165億円のアローラ副社長、投資案件の発掘に活躍中

 スプリントの低迷は頭痛の種でしょうが、ソフトバンクの屋台骨を揺るがすような問題ではありません。
 ただし、国内ではMVNOの台頭で一人負け状態のソフトバンク。そして米国のスプリントは業界4位転落と、ソフトバンクの携帯電話事業は、流れとしては悪い流れに入っています。

 スプリントの株価は下落トレンドですが、米国の株式市場自体は、ナスダックが最高値を更新する等、好調を維持しています。米国の株式市場が調整を始め、スプリントの経営も改善がなされないと、スプリント株の減損等、ソフトバンク本体も無傷では済まなくなってきます。

 秋にもと噂されている、米国FRBによる金利の引き上げ。金利の引き上げが迄が株価のピークと考えれば、ソフトバンクに残された時間は案外少ないかもしれません。

 自主再建にこだわり米国に根を張ってスプリントの面倒を見続けると腹を括るのか、それとも深傷を追う前に売却し損切りでスプリントから手を引いてしまうのか?

 ソフトバンクが決断を迫られる時期は案外近いのかもしれません。ソフトバンクのスプリントに対する、次の一手に注目です。

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